2026年04月06日
『鬼の花嫁』、『あの花~』
小説・コミックが続々と映像化される理由
小説やコミックの人気作品が、実写やアニメとなって映像化され、映画やテレビを通じて多くの人に届いていく光景はいまや珍しいことではありません。2023年12月に公開された映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』が観客動員数350万人を超えるヒットとなり、2026年3月に『鬼の花嫁』の実写映画の公開を控えるなど、ありがたいことにスターツ出版が手掛ける作品が映像化され、多くの人々に届いています。実は映像化を積極的に仕掛けるようになったのはここ数年のこと。その背景にある想いを出版マーケティング部の担当役員・小林に聞きました。
小説投稿サイトから始まるスターツ出版の小説・コミックビジネス
10代、20代をターゲットにした「野いちご」、その姉妹サイトで20代~40代向け「Berry’s Cafe」、そして性別を問わずより幅広い世代のユーザーに支持されている「ノベマ!」。これらはスターツ出版が運営している小説投稿サイトです。それぞれ青春、恋愛、異世界ファンタジー、現代ファンタジー、和風ファンタジー、ホラー、ヒューマンドラマなどなど、さまざまなジャンルの作品が日々投稿され、それを楽しみにしている読者が集って感想をシェアし合い、時には作家さんとのコミュニケーションが生まれる場にもなっています。それらの投稿サイトで人気になった作品の中から編集者が選定し、作家さんと一緒に作品を磨き上げ電子書籍化、さらに紙の書籍や電子・紙のコミックへと展開して、ひとつの作品を形を変えながらより多くの読者のもとへ届けていくのが、スターツ出版の書籍ビジネスです。
小林――「書籍・コミック化するにあたっても、ジャンルやターゲットに合わせて小説は15のレーベル、コミックは13のレーベルに分かれており、例えば『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は野いちごで公開され、青春・恋愛ファンタジー書籍レーベルのスターツ出版文庫で書籍化されました。『鬼の花嫁』はノベマ!に投稿された後スターツ出版文庫で書籍化され、恋愛・異世界ファンタジーのノイコミで電子コミック化。さらに紙コミックレーベルのノイコミコミックスから発刊されています」
このようにジャンルやターゲットごとにレーベルを立ち上げて、編集者はそれぞれのマーケットに精通し、さらに日々研究しながら作品と読者に向き合っていることが、スターツ出版の小説・コミック作りの最大の特徴です。
小林――「映像化のお話をいただく際によく“ターゲットが明確”であると言われます。“誰に、なにを”伝えたい作品なのか、メッセージがはっきりしているため、映像化のイメージもしやすいし、プロモーションの戦略も立てやすいそうです。普段、私たちが本を作る時に大切にしていることが、そのまま映像化のヒットにつながっていると感じています」
振り返ってみると、スターツ出版が発行で実写映画化されたのは、ケータイ小説ブーム時代の『恋空』(2007年)、そこから間が空いて2022年に『君が落とした青空』、『カラダ探し』。2023年に『交換ウソ日記』、『夜が明けたらいちばんに君に会いに行く』、そして『あの花~』と近年は映像化が相次いでいます。
小林――「『君が落とした青空』までの間に映像化のお声がけはいろいろいただいていたものの、なかなか実現には至りませんでした。ここ数年で続いているのは、電子・紙・書籍・コミックのサイクルが上手く軌道に乗り、レーベルの細分化により作品数も増え、質も向上したことや、2023年に映像化を自主的に働きかける専門チーム(ライツチーム)を立ち上げたことも理由のひとつかもしれません」
映像化はゴールではなく、より多くの読者に届けるひとつの手段
『君が落とした青空』から“あの花”までの5作品は、「5本に1本当たれば良い」と言われる映画業界の中で、5本とも多くの方に観ていただいたヒット作品となりました。小林曰く「これはなかなか稀なことだと良く言われますね」とのこと。これらの実績がさらなる映像化の可能性を生むきっかけにもなっています。
小林――「ありがたいことに多くの人に映画を見ていただいて、原作もさらに注目していただけました。私たちは出版社なので、良い小説・コミックを届けることが使命であり、映像化はより多くの人に届けるためのひとつの手段であってゴールではないんです。映画やテレビを通じて形を変えて、書籍を手に取ることがなかった人に作品を知ってもらえることは大きな価値です。そのために書店と一緒に映像化に合わせたプロモーションを仕掛けたり、SNSでの発信を積極的に行ったり、あらゆる手段を駆使するのですが、映画配給会社さんからは『ここまで丁寧にやってくれるのは珍しい』と言っていただくことが多いです」
ここで活躍するのがライツチーム。アニメや映画の制作会社への作品の売り込みや問い合わせへの対応だけでなく、原作者の想いをくみ取りながら、編集担当・販売担当と制作会社との間に入り、さまざまな調整をする仕事です。
小林――「『修学旅行で仲良くないグループに入りました』というBeLuck文庫というレーベルの小説がテレビドラマ化した際に、アニメイトさんで大々的にプロモーションを打たせていただいたんです。小説の中の挿絵とドラマのビジュアルを大胆に使いました。さらにSNSでもそれらの素材を使って告知展開をしました。そのために、作品や肖像の権利関係をクリアにしなければならなかったり、関係各所との調整が必要になってくるのですが、小説もコミックもドラマも3者にとって良いことはできる限りやろうと意気込みました」
映像化の先にいる、新しい読者
『修学旅行で仲良くないグループに入りました』はBL(ボーイズラブ)作品なのですが、販売担当はそれでも「BLの棚ではなく、一般の棚に置いてほしい」とかねてから書店に働きかけていた作品でした。発売当初、その想いの多くは実現しなかったのですが、テレビドラマは関西ローカルの深夜枠ながら、動画配信サービスを通じて回を追うごとに徐々に視聴者を増やす異例のヒットとなりました。
小林――「BLは他ジャンルに比べ市場も狭く、青春BLの専門レーベルを立ち上げたことはスターツ出版にとってもチャレンジでした。でも、私たちがやるからには10代の読者に届けたいし、一般の方々にも読んでほしい。ドラマがヒットしたおかげで、書店の一番目立つ棚に、表紙を前に出してずらっと並べてもらえた時は、今までの常識を覆したというか、喜びを感じましたね」
今後も『鬼の花嫁』のテレビアニメ化、“あの花”の続編『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』など、世の中を賑わしてくれそうな作品が続きますが、小林は浮き足立つことなく着実に歩みを進めます。
「映像化は多くの人に届けるきっかけになりますが、逆に“一過性の作品”になってしまう恐れもあります。そうならないためにも、リアルな書店や電子書籍ストアのみなさんと協力して新しい仕掛けを打ったり、SNSを通じて新たな読者を探したり、届ける工夫は常に続けていきたいと思っています」
映像化は、良い作品が広く届いた結果として生まれるものであり、より広く届けるためのひとつの方法。スターツ出版が大切にしているのは、流行や話題性よりも、読者に届き、寄り添う物語をつくること。読者の声に耳を傾けながら、作家さんとともに作品を育てていく。その姿勢で、これからも物語の可能性を広げていきます。
>>『鬼の花嫁』特設サイト
https://novema.jp/article/oninohanayome
>>2026年3月27日公開 映画サイト
https://movies.shochiku.co.jp/onihana/
>>TVアニメ「鬼の花嫁」公式サイト
https://onihana-anime.com/
- 営業時間
- 9:00~18:00(土・日・定休)
- URL
- https://starts-pub.jp/