2026年09月30日
いまだ発展途上にある、インドの不動産市場。
この先に広がる、大きな可能性を読み解く
今、インドの不動産市場は、都市化の加速と中間所得層の増加を背景に、大きく成長し続けています。特に都市部では住宅需要が高まり、中所得者向け住宅が市場全体の約6割を占めています。世界からも注目を集めるインドの不動産市場は、現在どのような状況にあり、今後はどのような展開が見込まれるのでしょうか。スターツインドの宮本に話を聞きました。
目次
- 1. インド不動産の現状
- 2. デリーNCRの不動産価格動向
- 3. インドから見た日本の不動産
- 4. インド不動産市場への期待
インド不動産の現状
※2025年時点
急速に拡大している、インドの不動産市場。2025年の市場規模は約6,600億米ドル(約9.8兆円※)に達し、2030年には1兆4,000億米ドル(約208.6兆円※)を超えると見込まれています。
※米ドル建て金額は、1USD=149円で試算した参考値です。
その背景には、政府が「Housing for All」政策を掲げ、全国民への住宅供給を推進していることや、インフラ整備が進んでいること、さらに外国直接投資(FDI)規制の緩和が投資環境の後押しとなり、国内外の投資家からの関心が高まっています。
また、トランプ関税への対応としての減税政策や、製造業を中心とする国内産業の振興を目指す「Make in India」政策などを背景に、日系企業を含む外資系企業の進出も加速しています。
「これからはインドだ」と言われて久しい中、現在はその成長曲線がさらに上向いている局面にあり、インドの不動産市場は今後も注目を集めると考えられます。
デリーNCRの不動産価格動向
デリーNCR地域(デリー・グルガオンエリア)は、インド最大級の住宅市場です。特にグルガオンでは、IT企業や多国籍企業の集積が進み、高級住宅の需要が急増しています。
2025年現在、グルガオンの高級サービスアパートメントの賃料は、月額15万〜30万ルピー(日本円で約26万〜52万)が相場です。一部のコンドミニアムでは、前年比で50%以上の賃料上昇も見られます。新築物件の供給も続く一方で、需要が供給を上回る状況が続いています。
オフィス市場でも、グレードの高い物件の供給が増えています。特に、質の高い物件から順に埋まっていく傾向があり、デリーNCR全体の空室率は約12%であるのに対し、グルガオンの一部の人気エリアでは2.5〜7%と、高い稼働率が続いています。
さらに、製造業が拡張フェーズにあり、工業用地への関心も高まっています。都心に近いエリアほど地価が上昇しており、直近3年間では、グルガオンが位置するハリヤナ州の主要工業団地で地価が135%〜260%上昇するなど、急激な値上がりが見られます。
インドから見た日本の不動産
インドからの不動産投資先としては、地理的な特性から、物理的に近い中東(ドバイなど)や東南アジアが多く、投資金額の面ではアメリカやヨーロッパなど、広範囲に及んでいます。
特に英語圏への投資が多いとされる中、英語圏ではない日本も、デリーから片道9〜10時間と距離があるにもかかわらず、投資先として上位に入っています。その背景には、低金利や空室率の低さ、建築の質の高さが評価され、資産保全型の投資先として注目されている点が挙げられます。
近年では、日印間で合意された対印投資目標や人的交流目標などをきっかけに、日本への関心がさらに高まっています。インド国内では、大使館や政府関連機関を中心に日本語教育への取り組みも進んでおり、平均所得の上昇とともに、サービスや製品に対する「質」についても意識されるようになりました。今後、日系企業の存在感はより強まり、日印間の経済・文化交流も一層進んでいくものと考えられます。
インド不動産市場への期待
今のインドが日本の高度成長期や中国の経済発展でいうところのどの段階にあるのかを単純に比較することは難しいものの、依然として発展途上だと言えます。これから経済や産業がさらに発展する中で、不動産市場の拡大も期待されます。
不動産に関する外国投資の制限はまだ多く残っていますが、緩和に向けた動きも見られており、今後の大きな規制変更には注目していきたいところです。




