2026年06月25日
ホテル設計からPPP/PFI事業、そして日本の観光産業への貢献まで。
スターツの総合力で挑む街づくり
※トップ画像:プラッツ習志野で行われた、子どもたちの手で主体的に遊びをつくる「プレーパーク」の様子
建物を建てるだけでなく、地域の人々が集い、新たな交流が生まれる「場」を創出するスターツの街づくり。その根底には、グループ各社が連携し、地域社会に新しい価値を届けていきたいという想いがあります。今回は、スターツグループのシナジー効果を発揮した総合戦略企画を担う株式会社スターツ総合研究所で設計を務める浅野一行に、スターツならではの「総合力」を生かした街づくりの最前線と、これから目指す建築の未来像について聞きました。
都市のダイナミズムを生み出す「点」から「面」の開発へ
ホテル開発で培ってきたノウハウをさらに広いフィールドで活かすべく、スターツが近年注力しているのが、行政と連携したPPP/PFI事業などの「複合施設開発」です。ホテルというひとつの建物を建てる「点」の開発だけでなく、複数の機能を持たせた施設を開発することで、街全体=「面」の価値を高める取り組みを進めています。
数々のプロジェクトに携わってきた浅野は、設計者の視点から複合施設開発の醍醐味をプラッツ習志野を例に次のように語ります。
浅野―――「独立した建物を個別に建てるのではなく、図書館・公民館・ホールなど複数の用途を一体的に計画することで、互いの機能が補完し合い、人が自然と集まるパブリックスペース(公共空間)が生まれます。その結果として街ににぎわいと同時に“動き”や“流れ”が生まれ、街としての魅力が高まる。これこそが複合開発を手がける意義だと考えています」
千葉県習志野市にある「プラッツ習志野」では、点在していた公共施設を集約し、民間施設と一体で開発しました。このプロジェクトにおいて、浅野たちが最もこだわったのが、施設を貫くシンボリックな大階段でした。
浅野―――「プラッツ習志野が建つ土地には、駅からのアプローチと、その先にある広い公園との間に大きな高低差がありました。大階段は、そのレベル差をスムーズに解消してつなぐ役割を果たしています。さらに階段の途中に公民館やホール、カフェなどの入口を集約することで、大階段が複合用途をまとめ上げ、巨大な施設全体が一体化しました」
プラッツ習志野の全体図
移動の動線としてだけでなく、施設を訪れた地域住民が集い、自然と交流が生まれる場となっているこの大階段。建物を建てるという枠を超え、地域の人々のための「場」をデザインするというスターツの街づくりへの想いが、この空間に表れています。
利害関係を超え利用者のために。グループシナジーが導く最適解
プラッツ習志野のような大規模な複合開発を成功に導く背景には、企画・設計から建設、そして完成後の施設管理や運営までをグループ内で一貫して担えるスターツの「総合力」があります。
浅野―――「一般的には複数の会社が集まってプロジェクトを進める際、各社の利害関係を調整することは非常に難しく、それがハードルとなって新しい挑戦が阻まれてしまうことがよくあります。しかしスターツの場合、グループ内で連携してプロジェクトチームを組成するため、そうした組織の垣根や利害は乗り越えやすく、純粋に『よりよいものを作る』という目標に向かって協議を重ねることができます。これこそが、他社には真似できないスターツの総合力の真髄だと思います」
PPP事業の一例:京都市中央卸売市場第⼀市場「賑わいゾーン」活用事業
(左:ホテル エミオン 京都/右:ホテル1・2階にある商業施設)
その総合力は、プロジェクト推進の柔軟性という形でも発揮されています。例えば、設計の終了間際に、オーナーや事業側から「やっぱり最上階にクラブラウンジを作りたい」「部屋数を大幅に増やしたい」といった要求が出ることもあります。一般的には工期や予算の壁に阻まれて断念するようなケースでも、スターツは常に前向きに取り組みます。
浅野―――「スターツでは、『その方が絶対にもっといい施設になる』と判断すれば、設計・施工・運営の各部門がどうすれば実現できるかを一緒に考え、臨機応変に対応します。もちろん現場の苦労はありますが、そうした柔軟な対応力と、完成後もグループでしっかり運営をしていけるという安心感があるからこそ、我々は思い切った提案や軌道修正ができるのです」
PFI事業の一例:横浜文化体育館再整備事業
(左:ホテル コメント 横浜関内/右:ホテル2階にあるレストランent eat)
時代に適応するこれからの建築像
複合施設開発を通じて街づくりを牽引してきたスターツですが、ではこれからの時代、社会に対してどのような価値を提供していくべきなのでしょうか。浅野は、将来の建築や不動産のあり方について、これまでの常識にとらわれない独自の視点を語ってくれました。
浅野―――「現在当たり前とされている『ホテル』という形態や、ある敷地にひとつの用途の建物が建ち続けるという不動産のあり方が、未来永劫続くとは限りません。今後は、建物の『用途』という概念自体がもっと曖昧になっていくのではないでしょうか」
PPP事業の一例:流山おおたかの森駅前市有地有効活用事業
(左:ホテル ルミエール グランデ 流山おおたかの森/右:スターツおおたかの森ホール)
浅野が思い描くのは、時代のニーズに合わせて柔軟に変化し、新陳代謝を繰り返す建築の姿です。
浅野―――「頑丈なスケルトン(骨組み)の器を作り、その中身は、その時代・その街に求められる用途の施設が入る。そして必要に応じて別の用途の施設に入れ替わる。もちろん、安全や管理上の技術や、法的整備の建物が課題解決は必須ですが、建物が特定の用途に縛られず、さまざまな機能が混ざり合い、融合することを可能にする。そんな建築の姿が、これからの未来には求められていくのだと思います」
変化の激しい時代において、街のニーズも刻一刻と変わっていきます。だからこそ、特定の機能に限定されるのではなく、街の変化にしなやかに適応できる空間を生み出していくことが重要になります。
浅野―――「複合開発というものは、本来ステークホルダーの要望が複雑に絡み合う難しいプロジェクトです。それをグループの総合力で突破できるのがスターツの強みです。これからも時代が求める多様なニーズに対し、柔軟な発想とグループの力を結集して、社会に貢献する街づくりに挑戦していきたいと考えています」