2026年10月30日
工場、オフィス、病院、複合施設まで。
施設ごとに異なるスターツファシリティーサービス株式会社の「入退室管理」導入例
スターツファシリティーサービス(以下、SFS)は、ビルをはじめとする施設の入退室管理システムの設計・開発から施工、保守までを一貫して手がけています。半世紀以上にわたる運用を通じて、顧客企業からはどのような要望が寄せられ、それらをどのように実現してきたのでしょうか。工場のBCP対策や来訪者管理、病院の安全対策など、実際の導入事例についてセキュリティプロデュース部製造部長の登藤に聞きました。
災害時に「いない人」をいち早く特定
近年数多く寄せられているのが、工場のBCP対策に関する相談だといいます。広い敷地に複数の建物がある工場では、災害発生時に誰がどこにいるのかを正確に把握することが課題となるようです。
登藤──「工場などの広い敷地の場合、建物の出入口だけにカードリーダーがあっても、敷地全体の在場者は把握できません。そこで、敷地の入口や各建物の出入口にもリーダーを設け、入るときと出るときの両方で社員証をかざしてもらいます。これにより、誰が敷地内にいて、どの建物へ入ったのかをエリアごとに確認できます」
災害時には、入退室情報を同期したノートパソコンと卓上型カードリーダーを避難場所へ持ち出します。避難者が社員証をかざすと、在場者リストとの照合が行われ、避難済みかどうかをその場で確認できる仕組みです。
登藤──「BCPで重要なのは、避難してきた人数を数えることより、施設内にいたはずなのに避難場所へ来ていない人をいち早く特定することです。最後に認証した場所が分かれば、捜索範囲を絞る手掛かりにもなります。複数の避難場所がある場合も、各所で取得した情報を集約できます。そのためにも、避難訓練でも日常的に使用して、非常時に確実に運用できる状態を整えておくことが大切です」
図解「災害時の安否確認フロー」
QRコードとの連携で来訪者管理を効率化
社員証を持たない協力会社のスタッフや出張者、来訪者には、貸出用カードを渡す方法が一般的。しかし、受付での記帳や受け渡し、返却確認には手間がかかり、カードを紛失する可能性もあります。
登藤──「貸出業務を簡略化したい、カードそのものを減らしたいというご相談もあります。たとえば当社のシステムは、他社が提供するQRコードの仕組みとも連携できます。来訪者へ事前にQRコードを送り、敷地や建物の入口で読み取ってもらえば、貸出用カードを使わずに入退室を管理できます。社員は社員証、来訪者はQRコードという使い分けも可能です」
入退室管理は、既存のオフィスへの後付けもできます。そのため、重要な部屋だけ認証を厳格にしたり、ビル共用部と自社の執務室を一枚の社員証で通過できるように改修したりすることも可能です。
登藤──「個人情報や機密情報を扱う部屋には、カードリーダーと顔認証を組み合わせることもあります。また、入退室データは施設運営にも活用できます。たとえば、ある工場では敷地内にいる人数のデータを社員食堂の準備に生かし、食品ロスの削減につながりました。出社人数や施設の利用状況を可視化すれば、働き方や設備運用を見直すための材料にもなるという好例ですね」
病院では侵入防止だけでなく、退館を防ぐ対策も
入退室管理システムに求められる役割は施設によって異なりますが、病院では特に患者の安全確保や面会者管理が重要になります。
登藤──「ある病院で、職員はカード、面会者は受付で発行されたQRコードを使う仕組みを導入した例があります。面会者は許可された病棟にのみ入ることができ、QRコード自体が身分証にもなります。誰がどこへ入れるのかを明確にすることで、患者さんやご家族の安心と安全を守っています」
それに加えて、小さな子どもや高齢者のいる病棟では、患者を1人で「病棟の外へ出ないよう」な設計も必要になるといいます。もちろん、厳重に管理しながらも、療養環境へ圧迫感を与えない配慮も欠かせません。
登藤──「患者が1人で病棟の外へ出ないよう安全を考慮し、職員がカードを操作しなければ、病棟などから退館できない仕組みを構築することがあります。また、乳幼児がいるフロアの非常階段扉が開くとナースステーションへ知らせる警報を設けた例もあります。その一方で、新生児室の付近では、認証音で赤ちゃんを起こさないよう、音が鳴らない設定にすることもあります。同じ機器でも、そこで過ごす人や実際の運用に合わせて細やかな設計が求められます」
導入後も改善を続ける入退室管理
工場やオフィス、病院だけでなく、複合施設など、さまざまな施設への導入実績があります。入退室管理と機械警備システム「ビルコム」を連携させ、設備監視や遠隔制御を含む総合的な提案を行っています。また、スターツグループが建設する新築物件の場合、その設計段階から自社のセキュリティを組み込むことも強みです。
登藤──「入退室管理の仕組みを応用して、シャッターや自動ドア、エレベーターなどの制御も組み合わせることができます。複合施設のオフィスフロアのように、認証した人だけが特定のフロアに行けるようにするなど、建物の用途に応じた設計が可能です。少し変わったところでは、時間貸し駐車場。人ではなく車両ですが、同じ「入退出」です。通信機器を組み込んでリモートで管理し、またトラブルなどの発生時にはバーの開閉なども遠隔操作できる仕組みを構築しています」
図解「施設別 入退室管理活用マップ」
セキュリティ設備は、設置して終わりではありません。実際の運用で判明した課題や、建物の使い方、周辺環境の変化に合わせ、継続的に改善していく必要があるといいます。
登藤──「将来は、ネットワークカメラと顔認証、AIを組み合わせ、不審な行動を事前に検知する仕組みも考えられます。しかし、カメラも植栽が伸びれば必要な場所が映らなくなりますし、周辺住宅が映り込んでしまうとトラブルになりかねません。どのようなシステムでも、導入後も状態を確認し、必要に応じて調整することが大切です。また、お客様自身もどのようなシステムが最適なのか分からないことがあります。まずは私たちへ相談していただき、施設の条件や過去の事例を踏まえて一緒に実現方法を考える。売りっぱなしにせず、長くお客様の課題解決を支えることが私たちのポリシーであり、強みなのです」




