2025年10月03日
流山おおたかの森 駅前の再開発
文化の交流発信拠点を創出

「都心から最も近い森のまち」として、子育て世代を中心に人口が急増し、注目される千葉県流山市。その中心地である流山おおたかの森駅の北口に、「スターツおおたかの森ホール」をはじめ、ホテル、集合住宅からなる「North Square63」と名付けられた再開発プロジェクトがあります。スターツが手掛け、公有地をあらたな「まち」へと発展させた、官民連携の事業です。このプロジェクトをリードしたスターツアセットマネジメント株式会社の不動産コンサルティング部・佐々木真弓に話を聞きました。
目次
ホテル、音楽ホール、集合住宅──3つの機能で地域に新たな賑わいを

流山おおたかの森駅の北口側には、コンサートホールとして本格的な音響設備を備えた多目的ホール「スターツおおたかの森ホール」、総客室数167室からなる「ホテル ルミエールグランデ 流山おおたかの森」が2019年に開業。翌年には集合住宅の「クオン流山おおたかの森」と「プロシード流山おおたかの森」が竣工し、そのエリア一帯は「North Square63」として流山市の新たなシンボルになっています。

開発前の流山おおたかの森駅北口の風景
この「North Square63」は、質の高い行政サービスと地域活性化を目的とした官民連携事業(PPP)として、2015年に公募された「流山おおたかの森駅前市有地活用事業」へ、スターツグループ各社をはじめ複数の事業者が参画したプロジェクトです。当時、提案から開業に至るまでプロジェクトマネジメントを行ったのは、スターツアセットマネジメント(以下SAM)。同社の不動産コンサルティング部は、投資案件となるプロジェクトの提案から資金調達、事業者の選定や取りまとめまで、マネジメント業務全般を担いました。

佐々木───「スターツと流山市との関係は、流山おおたかの森駅前の開発よりもずっと前に遡ります。地域の地主様の土地活用として免震構造の賃貸マンションの供給を数多く手がけたことにはじまり、“地域密着”、“質の高い住宅の供給”というスターツの事業の特徴を長年かけて流山市にご評価いただいていました。2016年には官民連携で私立の学校法人を誘致した公有地活用事業『流山セントラルパーク駅前市有地活用事業』が竣工。その際に流山市とのさまざまなやりとりから、『世代を超えて、いつまでも、住み続けたいまちづくり』という市の基本理念への理解が深まり、駅北口に広がる約1haの公有地活用の公募に、多目的ホールとホテル、集合住宅の3棟を中心としたあらたな北口の文化交流拠点として後に『North Square63』と呼称されるプロジェクトを提案しました。」

流山セントラルパーク駅前市有地活用事業でスターツが手掛けた小学校と体育館
「スターツおおたかの森ホール」は、音響に配慮した多目的ホールでありながら、市民窓口センターや観光情報センター、会議室機能も併設。「ホテル ルミエールグランデ 流山おおたかの森」は、経済界や、市民の方々が活用できる、市内初のバンケット機能を有したコミュニティホテルに。集合住宅は分譲区画の『クオン流山おおたかの森』と、賃貸区画の『プロシード流山おおたかの森』で構成され、安心して永住できる免震レジデンスとして子育て世代を中心に幅広い層にお住まいいただいています。」
SAMが取りまとめ役となり、プロジェクトをけん引
本プロジェクトは多目的ホールやバンケット機能を有するホテル、集合住宅と異なる役割を担う建物の集合体のため、スターツグループ各社とパートナー企業が力を合わせる正に「総力戦」のプロジェクトとなりました。

佐々木───「多目的ホールは音響など専門的な知識と技術が必要で、音楽ホールの設計・施工に実績を持つ大成建設と共同提案を行いました。集合住宅棟は日建設計とスターツグループの建設部門であるスターツCAMが共同で行い、商品開発をスターツデベロップメントが担当。ホテル・商業施設棟はスターツCAMが設計し、施工は熊谷組、運営はスターツホテル開発が担当するなど、グループ内外と複合的に連携したプロジェクトです。その中で私たちSAMは事業全体マネジメントを担い、流山市と連携しながら多くの関係者との調整や協議に臨みました」

ホテル ルミエール グランデ 流山おおたかの森のバンケット「ルミエールホール」
佐々木───「『ルミエール』のブランドは宿泊に特化したブランドでしたので、バンケットホールや、大浴場を備えたワンランク上のブランドとして『ホテル ルミエール グランデ 流山おおたかの森』が誕生しました。バンケットホールは市民や市内の経済界にとっても待望の機能だったようで、これまで市外の施設で開催せざるを得なかった企業の発表会や経済界の会合、市民のみなさまのイベントなど、幅広く活用いただいています」
どうしても実現させたかったペデストリアンデッキ
施工開始後も細かい調整は続きました。特に大変だったのは、駅北口からホール、ホテル、集合住宅をつなぐペデストリアンデッキの設置に関する調整だと、佐々木は語ります。

佐々木───「このデッキの設置は特に市から要望されたものではありませんでした。しかし、駅の北側は今後さらに発展が見込まれ、マンションなど住宅街も広がっていく地域。そこで暮らす人々の利便性を考えると、地上で道路を渡らずに行き来できるデッキはどうしても実現させたいプランでした。
とはいえ、デッキが設置されるのは市有地の上となります。設置後は市に寄付し、市が維持管理するというスキームになるスターツとしても前例のない試みでしたが、“地域のためになるなら”ということでグループ総意のもと提案に取り入れ、設置しました」
デッキの下には憩いの広場も設けられ、日中は子どもたちの遊び声が響きます。デッキを通じて南口からのアクセスも容易になり、北口の賑わいを支えています。
建物をつくって終わりではなく、管理・運営も担い地域とともに育てる
佐々木───「ホテルは、ビジネス利用や観光客、帰省客など市外・県外の方だけではなく、市民の方々にもちょっとした息抜きにホテルのレストランをご利用いただいたり、遠方から訪れるご親戚の方にご宿泊してもらうなど、気軽にご利用いただいています。

また、ホールは2024年からスターツファシリティーサービスが指定管理者に。本格的なクラシックコンサートから、気軽に立ち寄れるようなイベントの企画、地域の方々への情報発信まで、トータルな街のにぎわい創出に貢献できていると感じています」
スターツグループとしても、この流山おおたかの森駅の開発はかけがえのない経験となりました。ここで得た知見・ノウハウを活かして、2017年には横浜市による横浜文化体育館再整備事業に名乗りを挙げ、「横浜BUNTAI(メインアリーナ)」とそこに隣接する「ホテル コメント 横浜関内」を手掛け、また愛知県豊橋市の「多目的屋内施設及び豊橋公園東側エリア整備・運営事業」にも参画。今後は、5000人規模の屋内アリーナ施設に着手する予定です。
佐々木───「提案・開発だけでなく、管理・運営まで一貫して手掛けることができるのがスターツの強みです。『North Square63』に携わる現場のスタッフが、さらなる街の価値向上に向けて日々努力しています。

スターツグループには、地域に密着し、そこに住まう住民みなさまのお役に立ちたいという共通した想いがあります。官民連携事業では、まず住民へのサービス向上を願う自治体の要望を聞き、その要望を叶えながら、これまで培った経験をもとに真に地域の活性につながる提案を行う。そして作って終わりではなく、地域のみなさまと一緒に施設や街を育てていく。そんな、まさに地域密着の仕事が流山のプロジェクトで実現できていると感じています」
>>「スターツおおたかの森ホール」管理・運営についてはこちら
流山のまちに文化の花が開く、こだわりの音響を備えた多目的ホール
https://www.starts.co.jp/column/article44/
- 営業時間
- 9:00~18:00(土・日・定休)
- URL
- https://www.starts-fs.co.jp/
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