2026年08月31日
高まる省エネ住宅設備の需要。
賃貸住宅経営に与える影響とは
エネルギー価格の上昇や環境意識の高まりを背景に、住宅設備における省エネ化の動きが加速しています。一方、国の政策や制度改正も進む中で、賃貸住宅においても設備の選び方や更新の考え方が大きく変わりつつあります。こうした最新の動向と今後の賃貸経営に与える影響について、スターツアメニティー株式会社より事例をもとにご紹介します。
目次
変わるエアコン基準と賃貸市場への影響
近年、国がエネルギー消費削減に向けた取り組みを加速させ、住宅設備においても省エネ性能の向上が強く求められるようになりました。その1つに「エアコン」があります。
エアコンは、「トップランナー基準」によって省エネ性能の基準が段階的に引き上げられてきました。さらに、2027年4月にはより高い基準へと移行される予定です。
「トップランナー基準」とは、現在商品化されている製品のうち、最も省エネ性能の高い市販製品を基準に、将来の目標を定める制度です。エアコンについても、2027年の目標達成に向けて基準が引き上げられ、今後は安価な機種の選択肢が減少する可能性があります。ほかに、給湯器やテレビ、冷蔵庫など、多くの家電・設備機器にもこの基準が適用されています。
この基準改定に伴い、これまで賃貸住宅において主流であった低価格帯のモデルの多くは性能基準を満たせなくなり、製造が困難になると想定されています。
もちろん、実際には各メーカーから新モデルの発表があるまで明確ではありませんが、同じ冷暖房能力(対応畳数)で比較した場合、2025年度モデルと比べて、1台あたり数万円の値上がりが見込まれています。
こうした省エネ基準の引き上げは、将来的に、基準を満たした高性能機種が主流となることを意味します。そのため、従来と同等の設備更新であっても初期費用の増加は避けられない状況です。
一方、賃貸住宅の入居者にとっては、省エネ性能の高い機種ほど消費電力を抑えられるため、中長期的に電気代の負担を軽減することができます。
さらに近年は、入居者が物件を選ぶ際の判断基準として、「光熱費の安さ」や「省エネ性能」を重視する傾向が高まっているようです。
蛍光灯からLEDへ、転換期を迎える照明設備
照明設備については、蛍光灯の製造・輸入が2027年末に終了する見込みのため、今後はLED化が必要不可欠です。これにより、従来のような「球切れ時の交換」だけでは対応できず、照明器具ごとの交換や一斉更新が必要となるケースが増えています。
一般的に、照明器具の寿命(目安)は約10年です。種類によっては電球だけをLED球にすることもできますが、器具本体の劣化が進んでいることが多く、本体ごと交換することが推奨されています。
切り替え需要は2026年初旬からすでに集中しており、施工人員の不足も相まって、納品の遅延や、工事費・機器価格の上昇が発生しています。
しかしながら、LEDは蛍光灯と比べ、共用部の明るさ向上や電気代削減といった、物件価値の向上にもつながる設備です。早期に切り替えることで、コスト抑制と入居者の安心につながります。
太陽光発電設備をめぐる制度と対応
東京都では、2025年4月1日より、一定規模以上の建物(新築賃貸住宅や戸建住宅等)において、太陽光発電設備の設置が義務化されました。
スターツグループでは、東京電力エナジーパートナー株式会社(以下、東電EP)と連携して「エネカリプラス」を運用しています。初期費用無料で太陽光発電設備を設置でき、設置後には維持管理を東電EPがサポートするサービスです。
賃貸住宅を新築する際に「エネカリプラス」を導入すると、さまざまなメリットがあります。
太陽光発電設備は、15年の契約期間満了後に住宅のオーナー様へ無償で譲渡されます。また、入居者は太陽光発電による電気を優先的に利用できるため、電力会社から購入する電力量を抑えられ、電気料金の負担軽減が期待できます。加えて、災害時にも発電できる時間帯は電力供給が可能で、安心・快適な住環境の確保につながります。
一方で、既築物件への導入については、メンテナンス対応や構造条件、設置スペースの制約、各住戸への配線改修などの課題があり、今後、方法を検討していく必要があります。
設備更新は“選ばれる物件”づくりへ
エネルギー価格の上昇や環境意識の高まりを背景に、住宅設備の省エネ化は今後さらに加速していくと考えられます。また、制度改正や補助施策も継続的に見直され、設備選定や更新の考え方そのものが変わりつつあります。
スターツアメニティーでは、省エネを取り巻く環境の変化を捉えながら柔軟に対応していくことで、オーナー様の安定した経営と物件価値の維持に貢献してまいります。