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2025年7月30日

個人の不動産投資の間口を広げる、証券のデジタル化。
セキュリティ・トークンの取り組みをご紹介

金融・資産運用
個人の不動産投資の間口を広げる、証券のデジタル化セキュリティ・トークンの取り組みをご紹介

非課税枠が拡充された"新NISA"の登場や止まらない物価上昇、そして老後資金の問題。将来への不安があるなか、2024年1月に社会には“貯蓄から投資へ”という意識の変化が静かに、しかし確実に広がりつつあります。ただ数ある投資商品のなかで、不動産投資となるとハードルが高いと感じられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、その固定観念を覆す、少額から不動産投資が可能なST(セキュリティ・トークン)という新しい選択肢が注目を集めています。REIT(不動産投資信託)をはじめ、幅広い不動産運用実績を有するスターツアセットマネジメントでは、このSTに着目し、新しい金融商品をリリースしました。その特徴や投資家へのメリット、そして今後の展望について、プロジェクトの立ち上げを推進したファンド運営事業部の瀬口敬介に聞きました。

より柔軟な投資機会を社会に提供するために

NISAやiDeCo、ポイント運用など、投資の手段が増え、ハードルも下がっている昨今。WEBサイト「オズモール」が行った調査によると「お金や暮らしで興味のあることは?」という質問に、50%以上の人が「資産運用」と答えているという結果があります。

お金や暮らしで興味のあることは?

2024年11月オズモール調べ

そんな中、スターツアセットマネジメントがリリースしたのが、デジタル証券(セキュリティ・トークン/以下、ST)を発行することで資金調達を行うSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)「SHOEGAZE(シューゲイズ)」です。セキュリティ・トークンとは、財産価値を有しその権利を表す有価証券(セキュリティ)を、デジタルデータ(トークン)として扱うため、こう呼ばれています。不動産デジタル証券(不動産ST)は、不動産の所有権や収益分配権を小口にして証券(セキュリティ)化し、ブロックチェーン上でデジタル化することで投資家が不動産の一部をトークンとして取引できる仕組みとなります。

瀬口——「今回の不動産STは1口1万円(最低取引価格10口・10万円)からと、REITに比べて比較的少額での不動産投資が可能です。これまで投資に触れてこなかった方々にも始めやすい投資形態ですので、SHOEGAZEはより多くの方々にとって身近な投資機会になると考えています」

プロジェクトを主導した瀬口は、そう自信を覗かせます。

画像のタイトル(説明文)

瀬口が所属するスターツアセットマネジメントは、主に2つの事業の柱を持ちます。一つは、官民連携の街づくり。主にPPP(Public Private Partnership)/PFI(Private Finance Initiative)と呼ばれる手法で、公共施設の建設や維持管理、運営を行います。

そしてもう一つが、REIT(不動産投資信託)です。投資家から集めた資金で不動産投資を行い、得られた賃料収入や不動産の売却益を配当する事業で、スターツアセットマネジメントが運用する「スターツプロシード投資法人」では現在、賃貸住宅を中心に100物件以上、約5000戸を運用。2001年の設立から四半世紀もの間、不動産の仲介を担うピタットハウスをはじめとするスターツグループ各社との密な連携に基づき、住まいに関するノウハウを活かした物件取得と運用管理を行ってきました。

この2つの事業に加え、新たな収益の柱として期待されているのが不動産ST「SHOEGAZE」です。

プロジェクトの推進担当に抜擢された瀬口は、PFI事業におけるキャッシュマネジメントや関係者との調整業務、さらに退去修繕やリフォームに特化したクラウド型BIMサービス「Re:BIM」の開発にも携わってきた経歴があります。幅広い分野の知見を持っていたことから、白羽の矢が立ちました。

スターツアセットマネジメントが不動産STに取り組んだ理由を、瀬口はこう語ります。

瀬口——「REITには用途制限や公募増資のタイミングといった制約があり、柔軟性に乏しい側面があります。そこで、より柔軟な投資機会を提供できる不動産STに注目しました。根底にあるのは、投資を検討している方々を含め、投資家のお客様のお役に立ちたいという想いです。そのためには、REITとは異なる柱としてSHOEGAZEを成長させていかなければなりません」

第一弾は、待機児童問題にも貢献できる福祉貢献型建物

待機児童問題にも貢献できる福祉貢献型建物

第一弾の物件に選ばれたプロシード両国2(左)、プロシード千鳥町(右)

2025年5月にリリースされた「SHOEGAZE」の第一弾が、「スターツ・アセット・トークン~両国・千鳥町~」です。投資対象は、東京都の認可保育園が入る2つの物件。どちらも1〜3階に保育園が入り、4階からは賃貸住宅やシェアハウス(プロシード両国2のみ)を備えた“福祉貢献型建物”です。

瀬口は、この物件が最初のST案件として選ばれた理由を「高い社会貢献性」にあると説明します。

瀬口——「この2物件は2015年に東京都が待機児童解消を目的として公募し、スターツが事業者として選定されて立ち上げた官民連携ファンドの開発物件になります。待機児童解消という日本が抱える社会課題に応える意義も大きく、投資を通じて地域に貢献できる社会性の高い取り組みとして注目いただいています。すべての物件がこうした社会性を持てるわけではないのですが、スターツグループとして、持続可能な街づくりを掲げる私たちの姿勢を示すことができたのではないかと思っています」

新たな投資の形として登場したばかりのこの金融商品に、組織として初めて取り組む——その現実は、想像以上に骨の折れるものでした。

瀬口——「この金融商品を取り扱うグループ会社のスターツ証券や信託を担うスターツ信託としても初のST案件。関東財務局への届け出や金融商品取引法に関する各種調整などに多くの時間を要しました。契約書の確認も膨大で、毎日なにかしらの締め切りに追われていました」

スターツ、みずほ証券、セキュリタイズ・ジャパンの三社の座組

今回の案件の関係図。スターツ、みずほ証券、Securitize Japanの三社の座組

それでも、瀬口は立ち止まることはありませんでした。「この取り組みには価値がある」。そう確信していたからです。

瀬口——「私たちが目指すのは、新たな金融商品の力で、“誰もが安心して投資できる社会”をつくること。建設から管理、募集、信託まですべてをグループ内で一貫して担える私たちだからこそ、カタチにできたという実感があります」

静かに語られる言葉の裏には、苦悩の跡と、それを超えた確かな手応えが滲みます。

長年に渡るプロの運用ノウハウを不動産STに応用

長年に渡るプロの運用ノウハウを不動産STに応用

少ない投資金額で、誰でも不動産投資を始められる不動産ST。その手軽さが先行してしまいますが、メリットはそれだけではありません。

瀬口——「まず、価格の安定性が挙げられます。不動産鑑定評価額に基づいて価格が決まるため、株式投資などに比べて価格変動が少なく、現物資産のような安定感があります。この特性は、価格が下がるリスクを避ける投資初心者の方にとって大きなメリットと感じるはずです」

さらに、REITと異なり、投資対象が明確である点も、他にはない特徴です。

瀬口——「不動産STはREITに比べて少数の物件を投資対象とすることが多く、今回の両国・千鳥町のトークンのように、投資物件が明確です。自分のお金が何に使われているかが分かる安心感、そして、福祉型の不動産であれば社会貢献感が得られます」

さらに、「SHOEGAZE」の運用には、スターツグループがこれまで培ってきた実績と知見がしっかりと活かされています。これこそが、多くの投資家にとって安心して取り組める理由のひとつだと、瀬口は語ります。

瀬口——「私たちスターツアセットマネジメントが、長年にわたって培ってきた資産運用のノウハウ、特に信託スキームに関する知見は、今回の不動産STの組成・設計にも反映されています。物件はプロのアセットマネージャーによって運用されており、日々の賃料収入をもとに安定した分配が見込まれます。両国・千鳥町の案件においては、年間予想利回り4.10%(税引前)と、銀行預金などと比べても十分に魅力的なリターンが期待できます」

このように、手軽さの奥には、スターツ独自の堅実で実績ある運用体制がある。それが「SHOEGAZE」の本質的な魅力です。

利便性のさらなる向上も視野に、“自分に合った投資”を支援

長年に渡るプロの運用ノウハウを不動産STに応用

スターツアセットマネジメントが進める「SHOEGAZE」は、単なる新しい金融商品の開発にとどまらず、スターツグループ全体の事業展開に新たな可能性をもたらす取り組みです。REIT事業に加え、「SHOEGAZE」が新たな収益の柱を担っていくことに加え、スターツ証券やスターツ信託との連携をさらに深めることで、グループ一体となった証券化スキームの構築を進めています。

瀬口——「将来的には、スターツグループのポイントサービス『夢なびポイント』を活用したポイント投資の仕組みなども視野に入れています。さらに、現在の『SHOEGAZE』は対面販売が中心ですが、今後はデジタル環境での販売も検討していく必要があると思っています。すべては、より気軽に投資を始めていただける環境づくりのためです」

これらの構想は、スターツグループにとってのDX推進とも密接につながっており、企業の体質そのものを進化させていく動きでもあります。「誰もが投資にアクセスできる社会へ」——その想いの先には、社会課題の解決というテーマも見据えています。

瀬口——「老後資金の備えなど、将来への不安を感じている方は少なくありません。だからこそ、『SHOEGAZE』を通じて幅広い選択肢をお届けしたいと考えています。若年層や、これまで投資に触れる機会がなかった方々にも、安心して第一歩を踏み出していただけるような設計を大切にしています。また、今後は一般的な賃貸住宅なども含めた幅広い物件展開を視野に入れています。資産運用だけでなく、地域や暮らしへの貢献にもつなげていきたいです」

最後に、投資を検討されている方々へ向けて、瀬口は次のように語ります。

長年に渡るプロの運用ノウハウを不動産STに応用

瀬口——「『SHOEGAZE』は少額から始められ、安定した収益も期待できる、実用性の高い商品です。スターツグループがこれまで培ってきた不動産運用のノウハウを活かして設計していますので、初めての方にも安心してご検討いただけると思います。今後も、より多くの方に“自分に合った投資”を選んでいただけるような社会を目指して、取り組んでまいりますので、今後の展開に期待していただけると嬉しいです」

>>スターツアセットマネジメントの不動産STO「SHOEGAZE」のホームページはこちら
https://www.shoegaze-sto.com/

>>今回の記事で紹介したスターツの不動産STOの取り組みの詳細はこちら
https://www.starts.co.jp/news/press/2025/6325/

営業時間
9:00~18:00(土・日・定休)
URL
https://www.starts.co.jp/asset/

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