レポート
第67回東日本実業団陸上競技選手権大会
第67回東日本実業団陸上競技選手権大会は、2025年5月23~25日に埼玉県熊谷市のスポーツ文化公園で開催され、スターツから11名の選手が出場しました。
以下、レース結果と監督&選手コメントです。
<弘山監督コメント>
今大会は、9月に開催される全日本実業団陸上競技選手権大会の予選になっており、出場できない場合は全日本大会の出場権を失うことになります。陸上競技部としては重要大会として位置付け、4つのテーマを掲げて大会に臨みました。
1.全員出場(共に成長するチームへ)
今大会に出場することで、全日本大会に出場するチャンスが生まれる。全日本の参加資格(タイム)を有していない選手は、申し込み期日までに突破することが必要です。
一人でも多くの選手が、全日本実業団選手権に出場することを、チーム目標の一つに掲げています。
2.選手権大会だからこそ勝負に拘る
1年間で“選手権”と名が付く大会は多くありません。選手権大会は、一つでも上の順位を獲得することに拘る大会ですから、積極的な姿勢でレースに挑むことをテーマにしました。それができた時に初めて、勝負の世界での自分のレベルがわかります。マイペースの走りで力を出し切ったとしても、それは勝負の場では役に立たない自己評価になってしまうと思います。
3.日本選手権や今後の成長に繋げるためのレースを
現時点で、伊澤選手(5000m)と赤堀選手(3000mSC)が日本選手権の出場機会を得ることができそうです(出場枠の関係で確定は先)。日本選手権に出場予定の選手は、ライバル選手と競り合った結果、手応え(課題)を掴むための走りを目指すことが求められます。
他の選手も、今後の目標に対する自分の実力を量るために、競り合いながらも “現状の力” を確認し、得られた手応えを基に、目標のアップデートを図ることができると理想的です。
4.秋の駅伝に向けてチーム力の確認
東日本実業団チームの中で、スターツ陸上競技部のチーム力を確認し、今後、秋に勝負するために養わなければいけない「個人とチームの実力(差)」を知ることが大切です。
選手それぞれが、レースに挑む姿勢で頑張ってくれたと思います。残念ながら全員出場は叶いませんでしたが、伊澤選手とワンブイ選手は、5000mで優勝争いを繰り広げ、日本選手権や駅伝に向けて視界良好と言える走りを見せてくれました。
その他の選手も、4人が自己新記録をマークするなど、自己の限界に挑戦する走りができていたと思います。結果が伴わなかった選手もいましたが「悔しい」という気持ちが前面に出ていましたから、今後に繋がるステップ大会になったと感じます。
2025年のシーズンは始まったばかりです。個とチームの目標達成に向けて、今大会で得ることができた収穫と課題を活かして、全員が成長していくことができるよう、切磋琢磨できるチームとして活動していきます。
そのためにも、「何に挑戦するのか」そのために「何をしなければならないのか」を、個人としてもチームとしても明確にし、その覚悟を強固なものにしていくことを改めて確認していきたいと思います。
【大会1日目】女子1500m タイムレース決勝
ワングイ エスター ワンブイ 4分20秒51 11位(2組11着)
伊澤菜々花 4分23秒42 15位(1組1着)
對馬 千紘 4分27秒63 18位(1組3着)☆自己新
幸田 萌 4分33秒21 23位 (1組5着)☆自己新
赤堀かりん 4分34秒02 26位(1組8着)
大沼 亜衣 4分38秒38 32位(1組13着)☆自己新
【大会2日目】女子3000m タイムレース決勝
西川 真由 9分36秒37 19位(2組17着)☆自己新
中山 優奈 9分53秒84 29位(1組9着)
三輪南菜子 9分54秒19 30位(1組10着)
横山 美月 10分19秒99 37位(1組16着)
原田 萌花 10分41秒70 38位(1組17着)
【大会3日目】 女子3000mSC決勝
赤堀 かりん 10分44秒29 優勝
※エントリー選手の欠場により出場1名
【大会3日目】女子5000m タイムレース決勝
伊澤菜々花 15分23秒00 4位(日本人1位)☆自己新
ワングイ エスター ワンブイ 15分25秒84 5位(2組5着)
對馬 千紘 16分31秒79 32位(1組8着)
大沼 亜衣 18分00秒56 50位(1組24着)
<出場選手コメント>
■伊澤 菜々花(出場:1500m、5000m)
「昨年の東日本実業団は、現役復帰してすぐに肉離れをしてしまい、出場できませんでした。今年はなかなか噛み合わない春先から調子を取り戻していたので、今回のレースは楽しみに思いつつ、結果をしっかり残すことを目標にしていました。
1日目の1500mは、前回いつ走ったか思い出せないぐらい(多分6,7年ぶりだと思います...)久しぶりのレースでした。持ちタイムがないため、遅い組でのレースになることはわかっていました。なので、最初から自分でペースを刻んでいくしかない、とレースに挑みました。練習の調子からも自己ベストは更新できると確信していました。
しかし、現実は思い通りにいかず、評価できるのは1周目を67秒で思い切って走れたことだけです。自己ベスト更新もできず、身体がきつくなってから動かすこともできず、ラストの切り替えもできず、課題しか残らない、納得のいかないレースとなってしまいました。なぜ練習で出来ていることをレースで出せないのか、と自分自身にガッカリしました。しかし、今回の大会は2日後(日曜日)に5000mのレースが残っていました。この結果をズルズル5000mまで引きずっていたらダメだ、と気持ちを切り替えることにしました。1500mでいい刺激が入った!本命は5000mだ!と自分に言い聞かせました。
5000mは“外国人選手と勝負する”ということを決めてレースに挑みました。終始いい位置でレースを進めることができ、前半は周りの力を借りてリラックスして走ることができました。ラストのスピード勝負で外国人選手には負けてしまいましたが、自己ベストの更新、そして日本人トップを取ることができました!!
春先からの大事なレースを全て外していたので、レースを走ることに恐怖を感じていました。しかし、この恐怖に打ち勝てるのは自分自身だけです。今回の5000mのレースが、失いかけていた自信をもう一度、取り戻すきっかけとなり、自分がやってきていることは決して間違いではないと再確認することができました。
7月に日本選手権があります。そこで今まで以上の最高のパフォーマンスを発揮できるように残りの約1ヶ月、自分の課題と向き合い、やれることは全てやり、自信を持ってスタートラインに立てるようにします。今後とも応援よろしくお願いします。」
◾️西川 真由(出場:3000m)
「1年ぶりのレースとなりました。復帰レースだったので現状確認としっかり呼吸に刺激が入る様にすることを目的としていました。練習の段階から自己ベストを狙えるのではないかと思っていたので、その想定でレースプランを考えていました。スタートしてからは流れにうまく乗れ、きつい中でも耐えることができ想定した内容でレースを運ぶことができ、良かったと思います。
この体の状態に戻すまで本当にたくさんの方に支えて頂きました。
怪我を治すために尽力していただいたドクターやトレーナーさんはじめ友人達と会社のサポートに本当に感謝したいと思います。そして勤務の時にいつもお世話になっているスターツアメニティの職場の皆様にはどんな時もいつも通り接して応援してくださって本当に心の支えでした。今度は走りで私がみなさんの活力になれる様な姿をお見せできるように頑張りたいです。」
■ワングイ・エスター・ワンブイ(出場:1500m、5000m)
「Good morning everyone.
I am happy for the race 1500m on 23th and 5000m on 25th, the race was good but I will improve my goals God willing thanks for everyone who support me.」
(23日の1500mと25日の5000mのレースに出場できて嬉しいです。レースは良かったのですが、目標をさらに高めていきたいと思います。応援してくださる皆さんに感謝します)
■對馬 千紘(出場:1500m、5000m)
「今回の東日本実業団陸上では、ゴールデンゲームズ(5/4)後から調子も上がり、良い練習を積むことができていました。1500mでは自己ベストを出し、リラックスして走れたことで自信にも繋がりました。
ただ、メインの5000mでは1500mの良い感覚を持ち込むことができず、レースを作れなかったことが悔しかったです。練習でできていたことを本番で発揮する難しさを改めて感じました。これからも課題と向き合い、コツコツ取り組みながら、応援してくださる方に結果で恩返しできるよう頑張ります。」
■原田 萌花(出場:3000m)
「応援ありがとうございました。
久しぶりのレースを楽しんで、ワクワクする走りができるといいなと思っていましたが、練習不足、そして体調を合わせられず、思い描いていたレースをすることができませんでした。悔しくて、恥ずかしくて、情けないです。
でもその一方で走ることができる、スタートラインに立つことができる喜びや幸せを感じた瞬間でもありました。走れる幸せや競技をすることができる感謝の気持ちを忘れずここから這い上がって行きたいと思います。」
■大沼 亜衣(出場:1500m、5000m)
「今回は1500mと5000mの2種目に出場させて頂きました。
1500mでは、昨年よりも積極的なレースを意識し、最低でも自己ベストを出そうという気持ちで臨みました。結果として自己ベストを更新することができましたが、後半の苦しい場面で粘りきれなかったので、後半に強くなれるよう、しっかり練習を積んでいきたいと思います。
5000mでは、スタートから体が動く感じがあり、自己ベストも狙える感覚がありましたが、3000mを過ぎたあたりから調子が崩れてしまい、思い描いていた走りができず、とても悔しい結果となってしまいました。ですが、前回の記録会よりも3000mの通過タイムは良くなっていたので、あとは残り2000mをどう崩れずに走れるかが課題なのでそこを改善していきたいと思います。
今回のレースを通して、それぞれ課題が見つかったので一つずつ乗り越えて、応援してくださる皆さんに結果で恩返しができるよう頑張っていきたいと思います。」
■中山 優奈(出場:3000m)
「今回の試合では積極的なレースと課題である後半に対し思考を変え2000mまでの距離をいかに走るかにこだわって試合に挑みました。
結果は、積極的に走ることができました。また、思考を変えた中のレース運びで、課題である中盤から後半の耐える走りにプラスの変化を感じることができました。
今回は記録を出すことはできませんでしたが、今日の学びを活かし、次は記録に繋がるよう取り組んでいきたいと思います。応援ありがとうございました。」
■横山 美月(出場:3000m)
「今回、初めて公式戦に出場しました。東海大記録会から約3週間、本気で自分と向き合い1回1回の練習に対して目的をもって全力で取り組みました。
結果は前半リラックスして走れたものの、後半は力んだ硬い走りになってしまいました。スタート前からすごく緊張してしまい、本来の自分の走りができませんでした。入社して以来、こんなに順調にポイント練習を継続できていたのは初めてです。それを自信に変えて堂々と力強い走りをするところを緊張してしまってガチガチになってしまいました。
まだまだ改善点は多く、這い上がるしかないと感じた悔しいレースとなりました。公式戦という記録会とはまた違った勝負が決まるレースでもスターツのユニフォームに恥じない自分らしい走りができるようにしていきたいです。この悔しさをバネにさらに力をつけて必ず走るので今後とも応援よろしくお願いします。」
■赤堀 かりん(出場:1500m、3000mSC)
「大学1年生ぶり(6年ぶり)のレースとなった1500mでは、ホクレンの参加資格(4分35秒)を切ることと、流れに乗って力まず走り自己ベスト更新を目標にスタートラインに立ちました。
結果は、4分34秒02で参加資格を切ることはできましたが、自己ベスト更新とはならず悔しさが残る結果となりました。良かったことは、今後のプラスにし、自己ベストを出せなかった爪の甘さは、自分の弱さと受け止めて、今後も練習に励み次こそは自己ベスト更新出来るように頑張ります。
1年ぶりとなる3000mSCでは、他の選手の欠場もあり、単独でのレースとなりました。とにかく自分のペースで刻んでいき10分30秒を切ることとハードルの感覚を掴むことを目標にスタートしました。結果は、前半はうまく歩幅を合わせることができハードルを越せていたのですが、後半キツくなってから粘り切ることが出来ず、ハードリングも合わずで10分44秒29と目標タイムには届きませんでした。
ペースが落ちることによってハードルの歩幅も合わなくなってくるので、ペースを維持できる体力をしっかりとつけ、粘れるように今後も練習に励んでいきます。」
■幸田 萌(出場:1500m)
「今回は、膝の痛みを完全に治すことができていない状態での出場となりました。そのため、万全の状態ではない中でも今のベストを尽くし、今後のレースにつながる走りをすることを目標としました。
レースでは中盤から徐々に良いリズムを掴むことができ、少しではありますが8年ぶりに自己ベストを更新することができました。次のホクレンでは万全の状態でレースに臨めるようケアを入念に行い、今回掴んだレース感覚を活かして全日本実業団の標準記録を突破できるよう練習に励んでいきたいと思います。」
■三輪 南菜子(出場:3000m)
「今回のレースは、直前に足を痛めてしまい出場できるかの瀬戸際でしたが、トレーナーやスタッフの方々にサポートしていただき出場することができました。
まず、貴重なレースに本調子で走る状態へもっていけないこと、怪我をしてしまうという課題を解決していきます。社会人となり、今回のレースで実際にトップの実業団選手の走りをみて、もっと強くなりたいと改めて感じることができました。私もいずれは勝負できるよう、ケアや状態管理をより徹底し怪我せず練習を継続させ、少しずつ成長していきます。」
3日間、たくさんの応援を誠にありがとうございました。
