2025年11月06日
新浦安のまちで暮らす人々のために、
地域に根差した商業施設の作り方
ベイエリアの中核として発展を続ける千葉県浦安市には、東京ディズニーリゾート®をはじめ、運動公園やリゾートホテルなどさまざまな施設があります。そんな浦安市の玄関口・新浦安駅から徒歩約15分ほどのアクセスのニューコースト新浦安は、スターツグループが初めて管理、運営を行う大型商業施設として2018年に開業しました。2025年9月に開業から7周年を迎えたニューコースト新浦安と街との関わりについて、スターツニューコースト株式会社の堀江社長と、副支配人の栗山に、込められた想いを聞きました。
目次
フードデリバリーやネット通販、地域のみなさまが必要とする施策を
2018年9月に開業したニューコースト新浦安は「New Place * New Life」をコンセプトに掲げ、「食す」「学ぶ」「健康に暮らす」をキーワードにした暮らしを支えるテナントを取りそろえています。開業時から変わらず、近隣住民の方々に毎日のように施設を訪れていただけている現状を見て、堀江は「地域のコミュニティの1つとして受け入れられていただいている実感があります」と感謝の気持ちを示します。
それは、開業からの7年間、地域のみなさんにとって必要なものはなにかを考え続けた成果と言えます。特にニーズの変化を強く感じたのはコロナ禍だったと語ります。
堀江──「コロナ禍以降、食物販の売上が非常に伸びたんですね。飲食店舗のテイクアウトやフードデリバリーの増加など、コロナ禍以前は国内であまり見られなかった業態が急速に拡大しました。これに伴い、施設側ではオぺレーションの見直しや配達員の方に対応するために、警備体制の整備を実施して対応しました」
堀江───「また、ネット通販の利用が増えたことで『いかに店舗へ足を運んでもらうか』を深く考えるようになりました。魅力的な商品を揃えることはもちろん、体験といった『コト消費』を提供し、『この施設でなければならない』という来館動機を作る必要があります。もう商品を並べるだけで売上が上がる時代ではないことを実感しました」
さらに、コロナ禍以降は衛生面における意識も高まったことから、お客様用・従業員用トイレ内のハンドドライヤーの更新やエスカレーターベルトの定期清掃など、施設の環境整備や美観維持への取り組みも継続して実施。安心して足を運んでいただくため、気持ちよく施設を楽しんでもらうために欠かせないことです。
3階のスクールゾーンとクリニックゾーンが施設の「マグネット」に
ニューコースト新浦安の1階にある食品スーパー「ヤオコー」は、近隣に乱立する競合スーパーに負けることなく、開業以来多くのお客様の支持を得ています。ヤオコー社内でも、千葉県の旗艦店舗として位置付けられているようです。2025年9月には、輸入食品や日本各地のこだわり食品を販売する「Food warehouse」がオープン。お客様からの評判も良く、常に賑わいを見せる店舗です。
堀江───「私たちは商業施設を運営していますが、不動産管理業として、テナントからいただく賃料が主な収入源です。そして、テナントには『お客様』がいます。私たちの顧客はテナント企業ですが、その先にいるエンドユーザー(消費者)も当然ながら大切なお客様。例えば、テナントに入居しているレストランのオーナーが運営管理に求めるのは、『施設に空腹のお客様をたくさん呼ぶこと』です。施設内に空腹のお客様が歩いていれば、必然的に食べ物は売れます。同じように、私たちも何かを欲しているお客様を呼び込まなくてはなりません。ニューコースト新浦安のファンを増やし、その人たちに何回も来てもらうことが私たちの不動産管理であり、最大のミッションになるのです」
ニューコースト新浦安は「レストランゾーン」「スクールゾーン」「クリニックゾーン」「フードゾーン」など複数のゾーンに分かれています。堀江はクリニックとスクールが3階の一角にあるおかげで、良い人の流れができていると語ります。
堀江──「マーケティング戦略の1つに“リードマグネット”という考え方があります。これは見込み顧客を惹きつけるためのコンテンツのことを言うのですが、施設運営にも応用できる考え方です。リードマグネットとして集客力の高い店舗をテナント誘致できれば、お客様を集めることができます。ニューコースト新浦安の場合は、3階にあるスクールゾーンとクリニックゾーンがまさにマグネットの機能を果たしています。新浦安は、子育て世代や高所得者層が多い地域。3階にある英会話教室やダンススクール、バレエ教室などのスクールに通うお子様を、お迎えに来たついでに買い物をする方がたくさんいらっしゃいます」
いつ来ても楽しい場であるために。さまざまなイベントを開催
ニューコースト新浦安の1階中央の広場「センターコート」では、シーズンイベントや出店テナントの拡販企画、行政主催のイベントなど、多岐にわたるイベントが開催されています。
栗山──「運営室のメンバーがイベントの企画を担当しており、3つの種類があります。1つは地域住民のみなさまが楽しめる企画。もうひとつはテナントの集客や生徒募集に関する企画。そして3つ目が、行政との連携による啓発イベントです。例えば、火災予防の啓発活動を目的として、浦安市消防本部の協力を得て消防車を呼ぶイベントを実施しました。救急対応のイベントでは、心肺蘇生法の講習を開いてもらったこともあります」
一方で、営利目的のみの催事については、引き合いがあっても実施をお断りしているといいます。あくまでお客様に楽しんでもらったり、学びになったり、それがテナントの集客に寄与するということを目的にイベントを実施しています。
堀江──「ニューコースト新浦安は近隣住民のための施設です。いつ来ても楽しい、買い物に行く時に『何かイベントを開催しているかもしれない』といったわくわく感を常に持ってもらいたい。ハロウィーンやクリスマス、イースターなどのシーズンイベントも地域に定着してきました。2019年のクリスマスツリーの点灯式では、明海大学のジャズ研究会に所属する学生たちが素敵な演奏を披露してくれて、とても盛り上がりましたね」
建物をつくって終わりではなく、管理・運営も担い地域とともに育てる
堀江が施設を運営する上で大事にしているのは「常態管理」。「常にある理想的な状態を維持すること」を意味し、いつ来ても安心・安全な環境が保たれていることを重視しています。
堀江──「お客様が多い土曜日だけ、日曜日だけ頑張るという姿勢では決していけません。今日、初めて来たお客様がいるかもしれないからです。常に毎日が本番であると意識して、業務に取り組むようにメンバーにも伝えています」
栗山───「不動産を管理するだけでなく、いつ、何が起きてもすぐに対応できることが当たり前の状態を常に保つのが私たちの仕事です。常態管理を日々続けないと、お客様にとって安全でない状態を作り出すことになります。それは、絶対にあってはならないことです」
ニューコースト新浦安の今後やアピールポイントについて、堀江と栗山は次のように語りました。
栗山───「私が着任して5年ほど経ちますが、『スターツさん、商業施設を続けてくれてありがとう』との感謝の声をいまだにいただきます。この施設は一度、大手商業施設の撤退を経験し、スターツがリニューアルを手がけました。撤退という事実は、近隣住民のみなさまの生活の根幹を揺るがす事態でした。二度と同じ思いをさせてはならない、私たちは地域の方々の期待に応え続けなければいけません。この使命感は常に持っています」
堀江───「ニューコースト新浦安では、ベビーカーが2台並んで通れるように動線を広くしています。同業の友人には『もっと店舗数を増やせるのでは?』と言われますが、そこは譲れないこだわりです。他にも床の色がゾーンごとに違う、フードコート内のテーブルの色が違う、椅子が違うなどさまざまなこだわりを散りばめています。そんな『スターツ流』の商業施設運営の哲学が詰まったニューコースト新浦安をぜひ体験しに来てください」
- 営業時間
- 10:00~18:00※休館日・元日を除く
- URL
- https://www.newcoast.jp/