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11 住み続けられるまちづくりを11 住み続けられるまちづくりを

賃貸住宅にこそ免震を いつの時代も安心して
暮らせる住まいへ

免震開発の原点

1995年1月に発生した「阪神・淡路大震災」。国が定めた建築基準法に沿って建てられたはずの数多くの建物が倒壊・崩壊した姿を現地で目にした関戸(スターツ㈱ 建設統括本部長・当時)は、災害が及ぼす恐ろしさを肌で感じました。犠牲者約6,400名の8割が、家屋の倒壊や家具の転倒による圧死・窒息で命を絶たれたと知り、「国が定めた建築基準法を満たしたからといって、免罪符にする建物であってはならない」と心に誓いました。

1997年、免震の技術開発プロジェクトチームをつくり技術開発に着手。免震建築の初受注は1999年、翌年に竣工した時には、震災からすでに6年の月日が経過。その後も、建築費と収益性のバランスが課題となり、年間1 棟程度の受注が続いていきました。

命を守る技術、免震構造とは?

従来の建築物(耐震)は、地面の上に建築するため、地震の揺れが直接建物に伝わり大きく揺れるのに対し、免震は地震の揺れを吸収する免震装置の上に建築します。
これにより、地震の揺れが1/3~1/5程度に軽減され、家屋の倒壊や家具の転倒などを最小限に防げるため、人命と資産を守ることができる構造です。

命を守る技術、免震構造とは?

社会インフラを目指して ~「高床免震®」の開発~

免震の建築コストを削減する方法を探り続け、ついに2003年「高床免震®」を開発。特許取得にも成功しました。
従来の免震は、地面を4~5m掘削する必要性から建築費がかさみましたが、「高床免震®」は約1~2mの掘削で済み、コストを大幅に削減。これまでコスト面が課題となり、公的機関や病院、大規模な分譲マンションなどでしか採用できなかった免震ですが、「高床免震®」の開発で賃貸住宅への普及を加速させることができました。
そのほかにも、免制震に関する特許を15件取得(※1)。技術を独占するためではなく、普及させるために考えらえた創意工夫が結果として特許化につながっています。

入居者様の安心・安全の提供に加え、オーナー様の資産を守り、賃貸経営の安定に貢献する免震。 「高床免震®」の開発は、地震大国日本の「社会インフラ」を目指す、大きな一歩となりました。


※1 2022年3月末現在

高床免震

高床免震

高床免震にすることで、1階部分が地盤から高くなるため、外からの視線に対してプライバシーを守ることもできます。

井戸の力

大地震が発生すると、建物の倒壊だけでなく、水道・電気・ガスなどのライフラインが壊滅的な打撃を受けます。阪神・淡路大震災では、飲料水は震災からおよそ3 日で配給されましたが、生活用水までは手が回らないという状況でした。そんな時、各地で「井戸の力」が叫ばれるようになりました。井戸は独立した水源であり、給水管が短いため、地震に強いといわれています。

そこで、安心・安全な街づくりのために、免震建築オーナー様には、「井戸」と「災害時にかまどになるベンチ」の設置をお願いしています。建物が壊れないだけでなく、災害時に井戸の水を地域コミュニティに提供し、防災拠点となる建物を目指すとともに、震災に限らず、街に井戸があることで日常的に人が集い、地域コミュニティーの形成を促進することで、地域や街の資産価値向上につながると考えています。

井戸の力
井戸の力

この国にもっと免震を

免震普及への取り組みとして、実際に起きた大地震の揺れを再現し、耐震と免震で揺れを比較体験できるオリジナル起震車を2007年に民間で初めて導入。地方自治体の防災イベントや地域のお祭り、企業の防災訓練などに出展し、過去5年で約5万人以上の方(※2)に体験いただいています。
また、2010年には海を渡り「中国2010 年上海万国博覧会」にて、日本の免震技術を世界へ紹介しました。


※2 2021年3月末時点

この国にもっと免震を
この国にもっと免震を

また、免震建築をお考えのお客様を対象とした「現場見学会」を定期的に開催。賃貸物件の地下に設置してある免震装置の見学用ピットをご案内し、免震を深く理解していただく取り組みを継続しています。
ほかにも、2011年より「免震オーナー会(不定期)」を開催。オーナー様ご自身が、免震の魅力を語り広報マンになっていただくことを目的とし、最新の免震研究データや講演などを通じて、免震の普及に努めています。

【関連ページ】
スターツCAM株式会社 免震普及への取り組み