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海外拠点の物件選び、賃料より先に整理したいこと|現地ネットワークを持つスターツの視点

海外拠点のオフィス・工場・倉庫選びでは、賃料だけでなく、誰が働くのか、何のための拠点か、数年後にどうなっていそうかを整理しておくことが大切です。インド・カンボジア・中国での支援事例をまじえながら、物件探しの前に考えておきたいポイントと、現地に拠点がある不動産会社だからこそお伝えできる情報をご紹介します。
はじめに
「〇〇でオフィスを探しています。賃料の相場はどれくらいですか?」
海外進出や拠点の移転を考えている企業のご担当者様から、こうしたご相談をいただくことがあります。 賃料はもちろん大事な判断材料です。ただ、実際の拠点選びでは、賃料だけでは決めきれないことが少なくありません。
同じ都市で同じ賃料帯の物件でも、エリアが違えば、現地スタッフの採用しやすさ、 通勤のしやすさ、取引先までの移動時間は変わります。入居できる時期の見込みや、 借りる・持つといった契約上のルールも国によって違います。 こうした情報は、物件情報や賃料のデータを見比べるだけではなかなか分かりません。
スターツは、世界35都市のネットワークと40年以上の海外事業の経験を活かして、 日系企業の海外拠点づくりをお手伝いしてきました。 この記事では、実際の支援事例をまじえながら、海外拠点の物件選びで賃料と一緒に考えておきたいポイントをご紹介します。
海外拠点の物件探しの前に整理しておきたい3つのこと
1. 現地スタッフと日本人駐在員で、好む立地は違う
たとえばインドのニューデリーでは、現地スタッフは都心のブランド力のある立地を好み、日本人駐在員は空港へのアクセスや移動のしやすさを重視する傾向があります。スターツがオフィス移転をお手伝いした企業様の社内でも、「対外的な印象を大事にしたい」という声と、「出張や日々の移動を効率よくしたい」という声の両方がありました。都心のハイグレードオフィスと空港周辺のエリアを比べた結果、最終的には駐在員の業務効率や来客対応のしやすさを優先したエリアを選ばれています。
どちらの視点を優先するかを社内で決めておくと、候補を比べやすくなります。
2. その拠点は何のための場所か
拠点の役割によって、見るべきポイントは大きく変わります。
- 営業拠点:日系・外資系企業が集まるエリアか、顧客からどう見えるか
- 開発拠点:現地の人材が集まりやすいか、公共交通が整っているか
- 製造拠点:電力が安定して使えるか(停電への備え)、工業団地の外資向け優遇制度
- 物流拠点:港・空港・通関拠点までの距離、渋滞の状況
ひとつの拠点に複数の役割を持たせる場合は、どの役割をいちばん優先するかを社内で決めておくと、物件選びで迷いにくくなります。
3. 借り続けられるか?海外で起こりやすい賃料改定・立ち退きのリスク
物件を賃借している拠点には、賃料の値上がりや、契約を更新できないリスク、立ち退きのリスクがつきまといます。長く使うつもりの拠点ほど、「借り続けて大丈夫か」を早めに考えておくことが大切です。後ほどご紹介するカンボジアの事例も、借りた土地で長年営業してきた店舗をどう守るか、というご相談でした。
賃料だけで決めた拠点に起こりやすいこと
賃料の安さを最優先にして拠点を決めると、進出した後に次のような課題が出てくることがあります。
- 公共交通が少なく、渋滞で通勤や移動に時間がかかる:通勤しにくい立地では、人がなかなか集まらなかったり、定着しなかったりします
- 駐在員の住まいや日本人学校から遠く、生活面の負担が大きい:移動に時間がかかり、営業の効率が下がります
- 数年後に移転が必要になる:増員に対応できず、移転や内装工事の費用がもう一度かかります
- 電力や水道が不安定で、設備への追加投資が必要になる:港や幹線道路から遠く、配送のコストが想定より大きくなります
どれも、物件を契約する前には見えにくい費用です。月々の賃料だけでなく、拠点を運営していくうえでかかる費用全体で比べることが大切です。
数字には表れない、現地だからこそ分かる情報
工事や許認可は予定どおりに進まない前提で見積もる
海外では、工事や行政手続きが予定どおりに進まないことがあります。先ほどのインドの事例でも、デベロッパーからは2025年4月に引き渡すと案内されていましたが、スターツは現地でのこれまでの経験から「10月以降になる可能性がある」とお客様にお伝えしていました。実際に入居時期は大きく遅れましたが、前もって現実的な見込みを共有していたので、お客様は落ち着いて準備を進め、大きな混乱なく移転を終えられました。
「いつ入れるか」の見込みは、物件情報を見比べるだけでは分からない情報のひとつです。
地図上の距離と、実際の移動時間は違う
インドネシアのジャカルタでは、主要な幹線道路で「ガンジル・ゲナップ」と呼ばれる奇数・偶数ナンバー規制が行われています。平日の朝6時〜10時と夕方16時〜21時は、日付が奇数の日には末尾が奇数のナンバーの車だけ、偶数の日には偶数のナンバーの車だけが対象の道路を走れます。
ジャカルタで働く日本人駐在員の多くは、運転手付きの社用車で移動しています。そのため、オフィスが規制道路の沿線にあると、日によっては社用車で通れず、遠回りや移動手段の切り替えが必要になります。慢性的な渋滞もあり、地図の上では数キロの距離でも、思った以上に時間がかかることがあります。
オフィスの立地を選ぶときは、住まいや取引先、工業団地までの「距離」ではなく、規制や渋滞を踏まえた「実際の移動時間」で比べることが大切です。こうした交通事情は、現地で日々移動しているからこそ分かる情報のひとつです。
外国企業の不動産保有を制限する国もある
敷金や保証金、契約の更新や退去のときの条件は、国によって大きく違います。さらに、外国の会社が不動産を持つこと自体に、法律上の制限がある国もあります。
カンボジアでは、借りた土地で長年飲食店を営業してきた日系企業様が、地主から「土地を売りたい」と申し出を受けました。店を守るには買いたいところですが、カンボジアでは外国法人が土地を所有することが法律で認められていません。
そこでスターツは、政府の認可を受けた信託会社を通じて土地を取得し、政府機関に権利を登録する仕組みをご提案しました。法律の制限を守りながら実質的な所有権を確保し、店舗を今後も続けられる環境を整えています。
「どの物件を選ぶか」と同じくらい、「その国の法律のもとで、どのような形で持つか・借りるか」が大事になる場面があります。
▶ 成約事例|カンボジア ~借地から所有へ。事業基盤を守るための土地取得支援~
外資系・日系企業が集まるエリアは変わっていく
同じ都市の中でも、エリアごとに集まっている業種や、ビジネスの場としての評価は違います。ニューデリーの事例で選ばれた空港周辺のエリアは、空港・都心・日系企業が多い郊外のどこへも移動しやすく、外資系企業が多く集まっています。こうしたエリアごとの特徴を踏まえて候補を絞り込めるのは、現地に拠点があるからこそです。新しい開発で企業が集まるエリアが移っていくこともあり、最新の状況を確認することが大切です。
スターツができること:物件のご紹介の前から、進出後の見直しまで
現地の拠点とも、直接日本語でやりとりできる
スターツの海外拠点には日本人スタッフも駐在しています。そのため、日本の担当者を通すだけでなく、現地の担当者とも日本語で直接やりとりしながら検討を進められます。
海外拠点の不動産は、日本の本社と現地の駐在員、現地の不動産会社の間で伝言が重なりやすく、細かい事情が伝わりにくくなりがちです。現地の状況を知っている担当者と直接話せるので、エリアの様子や交渉の進み具合、気をつけるべき点を、日本にいながら確認できます。
国をまたぐご相談にも対応しています。中国では、北京・上海・香港の3拠点が連携して、社宅やオフィスの売却から、売却したお金を香港の本社へ戻す仕組みづくり、売却後の駐在員住宅やオフィスの確保までをお手伝いしました。進出するときだけでなく、拠点を見直す段階でもご相談いただけます。
▶ 成約事例|北京 ~中国不動産の売却から資金回収までをワンストップ支援~
オフィス・工場・倉庫・駐在員住宅までまとめて相談できる
スターツは駐在員向けの住宅だけでなく、オフィス、店舗、工場、倉庫といった事業用の不動産もご紹介しています。インドの事例も、スターツの住宅をご利用いただいていたお客様から「オフィスのことも相談したい」とご連絡いただいたのがきっかけでした。拠点と住まいをまとめて相談できるので、窓口がひとつで済みます。
まとめ:「どこが安いか」より「どこなら事業が回るか」
海外拠点の物件選びは、賃料・広さ・立地だけでは決まりません。誰が働くのか、何のための拠点か、数年後にどうなっていそうかを整理したうえで、入居時期の見込みやその国の法律・規制まで含めて考えることが、進出してから困らないための近道です。
賃料の相場はインターネットでも調べられます。一方で、エリアの特徴や実際の進み具合、その国ならではの注意点は、現地にいるからこそお伝えできる情報です。物件探しを始める前の段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。
海外拠点の物件選びでお悩みの方へ
スターツでは、世界35都市のネットワークを活かして、オフィス・工場・倉庫・駐在員住宅の物件探しから、契約、入居後の運営、拠点の見直しまで一貫してお手伝いしています。賃料の相場に加えて、エリアの特徴やその国の法律・契約の慣習についても、現地の担当者から直接お伝えできます。