2025年11月06日
新浦安で暮らすまちの人々のために
ニューコースト新浦安の挑戦
東京ディズニーリゾート®の街として知られ、ベイエリアの中核をなす千葉県浦安市。ベッドタウンとして人気の新浦安駅周辺には、複数の大型商業施設が立ち並びます。その1つが、南口からシンボルロードを海に向かって15分程歩いたところにあるニューコースト新浦安です。2018年に開業した同施設は、スターツグループが管理、運営を行う初の大型商業施設です。2017年にスターツグループが施設を取得し、地域住民のニーズに応える形で商業施設の運営に乗り出しました。今回は、その開業に尽力したスターツニューコースト株式会社の堀江社長に、施設立ち上げの舞台裏やニューコースト新浦安のこれからについて聞きました。
目次
商業施設の空白をつくらない。大型商業施設運営への挑戦
東京ディズニーリゾート®の最寄り駅・舞浜駅から1駅隣の新浦安駅にニューコースト新浦安が開業したのは2018年9月のこと。その前年、2017年5月に旧イトーヨーカドーが閉店し、同年7月にスターツが施設を取得。当初はタワーマンションの開発を検討していました。しかし生鮮スーパーや生活用品が揃う商業施設は地域住民にとって生活を支えるインフラがなくなってしまうことを憂い、エリア全体の利便性向上、 地域貢献という視点から、スターツは新しい商業施設にリニューアルするというプランへの変更を決断しました。
堀江──「私が入社したのは2018年の開業準備期間でした。スターツが商業施設運営の経験がない中、自社で大型施設の開発と運営を担うということで、百貨店やアウトレットモールの運営管理に30年以上携わってきた経験を買われてお声がけいただいたんです。その時、私は52歳でしたが『ゼロから商業施設の立ち上げを経験してみたい』と思い引き受けることにしました」
スターツはこれまで新浦安エリアにおいて保育園や賃貸住宅、分譲マンション、複合型介護施設、ホテルなどの事業を展開しているご縁もあり「地域住民のために」との強い想いでニューコースト新浦安の立ち上げに力を入れていました。
堀江──「当時のメンバーとは『商業施設の運営とは何か』という基本的な部分について念入りに取り決めを進めました。お客様に快適に、安全に楽しくお買い物をしていただき、テナント様にも気持ちよく商売をしてもらう、そんな仕組みをいかに組織全体に浸透させていくかを、常に考えていたと思います。不動産取得や事業計画といった分野については、スターツはプロですから、そこは信頼して一任していました」
コンセプトの策定とテナント誘致の舞台裏
地域住民の「食す」「学ぶ」「健康に暮らす」といった生活全般に関わる店舗をそろえ、日々の生活と休日の憩いの場として、暮らしに新たな価値を提供することを目指すニューコースト新浦安。そして、家族全員が楽しめる場づくりを目標に、コンセプトを「New Place* New Life」と掲げました。
ニューコースト新浦安のロゴと開業冊子の施設イメージ
堀江──「コンセプト創りは、この事業を始めるにあたって私の最初の仕事でした。スターツがニューコースト新浦安の開業を決めた時の、まちに対する強い思いをそのまま表現しています。このコンセプトは、どんなテナントに集まってもらうか、どんな空間を作ったらよいか、さまざまな施策に落とし込まれているため、これからも変えるつもりはありません。世相に合わせて施設の方針を変え続けていては、お客様やテナントからの信頼を失ってしまいますから」
ホームページに掲げられているコンセプト
テナントを誘致するにあたって、堀江は「スターツが、ニューコースト新浦安を軸に、どのように新浦安のまちを活性化させるか」というコンセプトに込めた強い思いと、施設の将来的な可能性を伝えることに注力しました。
堀江──「出店の交渉は一筋縄ではいかなかったというのが正直なところです。やはり大手の商業施設が撤退した跡地というのがネガティブな印象を持たれていたようで…。しかし、テナントが入らなければ大型商業施設として機能しませんし、テナント誘致こそが運営における最大のミッションです。駅から少し離れているからこそ大型の団地やマンションが多く、広い駐車場もあり、近くには大学などの教育機関もある。そんなポテンシャルのある場所で、一緒に新浦安のまちを盛り上げる仲間として出店いただけるよう、ネガティブなイメージを払拭しながら交渉にあたりました」
開業当初から今日まで営業を続けている店舗が多いのは、まちへの想いを共にしているからなのかもしれません。
急ピッチでのリニューアル工事と仕組み作り
地域の人々にとってインフラ的な存在だった商業施設の空白期間を短くするべく、早期開業を目指す中、最大の難関となったのは工事スケジュールでした。2018年5月、施設内は柱や梁といった構造部分のみの状態で引き渡され、わずか4カ月でお客様を迎えられる状態にしなければならなかったのです。
堀江──「9月のオープンに間に合うか、当時の担当者たちは大きな不安を抱えていました。しかし、スターツファシリティーサービスの工事部や協力会社各社の並々ならぬ尽力もあり、私たちは予定通りに開業することができました」
運営面では、「契約書・社内規定・各種書類の作成に特に苦労した」と堀江は振り返ります。中でも「売上管理(精算)」の仕組みづくりにおいては、スターツの経理部や、スターツグループの共通ポイントサービス「夢なびポイント」を運営する夢なび事業部と入念に協議を重ねました。
堀江──「施設運営の仕組みづくりに関しては、私が長く培ってきたノウハウはあるものの、それをスターツのルールにどう適合させ、無理なく落とし込むかを考えました。特に『夢なびポイント』については、スターツのグループ会社のみで利用されていたため、外部テナントとの連携に関する規定や契約書がありませんでした。当時の担当者と協力してゼロから作成し、なんとか間に合わせることができました」
テープカットの様子
確立したノウハウの再現性、第2、第3の「ニューコースト」への展望
「ニューコースト新浦安」の運営について、堀江は自身のキャリアを振り返ります。
堀江──「ニューコースト新浦安の話を聞いた時、これは商業施設に長く携わってきた者として集大成になるだろうと感じました。社会人として残された時間を考えた時、会社の力だけに依存するのではなく、自分の力でゼロから事業を成し遂げたいと決意しました。ニューコースト新浦安に、定年までの10年間を捧げたい場所だと感じたのです」
今後、スターツニューコースト株式会社は、第2、第3の「ニューコースト」の立ち上げを具体的な展望として掲げています。
堀江──「私たちは、ニューコースト新浦安で確立した運営の仕組みやノウハウを明文化し、ナレッジとして集約することが重要だと考えています。ゼロから作り上げたこの仕組みを、新浦安ではない別のロケーションで再現できるかどうかが、ビジネスにおける真の成功の鍵です。もし、別の場所で再現できず、『事業が上手くいっているのは、新浦安という立地のおかげだ』と評価されるなら、それはビジネスとしては失敗を意味します。同じロケーションは二つとありませんから。その地域の人々が必要とする施設を、名前は変わるかもしれませんが、現役であるうちに第2、第3の『ニューコースト』を実現させたいですね」
- 営業時間
- 10:00~18:00※休館日・元日を除く
- URL
- https://www.newcoast.jp/