2025年6月30日
安心をとことん追及する新たな挑戦。
エレベーターの点検現場に迫る(前編)

エレベーターに乗ろうとした際、“点検中”の札を見かけた経験はありませんか? エレベーターのメンテナンスは日々の安全な運行を維持するために欠かすことのできない重要な作業です。スターツでは、エレベーターなどの昇降機メンテナンスの専門会社「リフトマネジメント株式会社」を2021年に立ち上げ、エレベーターの保守点検業務を内製化しました。自社物件を中心に、180棟・238機のエレベーター(一部エスカレーター)を、24時間365日守り続けています。設立以来、自信を持っているのは「丁寧さ」を追求する独自の点検スタイル。毎日の安心を支える裏側にある想いを、4人の現場担当者に聞きました。
エレベーター点検業務の内製化という前例のないチャレンジ

5月某日、取材のためにとあるビルを訪れると、エレベーターにはすでに“点検中”の立て札が。乗降扉の前に置かれているのは、「リフトマネジメント」のロゴが入った柵。航空機のチケットを模したロゴデザインが印象的です。
「リフトマネジメントの社長の國井の発案で、ビルのご利用者の方の目に留めてもらえるようデザインしたものです」。優しい笑顔で教えてくれたのは、創業時から在籍する技術統括責任者の森本望。創業の経緯について訊ねると「あの頃は大変でしたよ」と笑いながら振り返ってくれました。

左から保守技術主任・上野大輔、技術統括責任者・森本望、
保守技術主任・井坂聡、保守補佐・若澤俊宏
森本───「エレベーターの点検業務はメーカーや専門会社に外注するのが一般的なのですが、不動産管理会社が内製化しているケースは、少なくとも私は聞いたことがありません。ノウハウも人材もゼロからのスタートで、創業直後は困難の連続でした」
「スターツでエレベーター保守の会社をやらないか。誰もやったことがないことをやろう」——入社前、別の会社で働いていた森本を社長の國井がスカウトしました。
森本───「専門知識・資格を持ったスタッフや、工具や交換部品の確保など参入障壁が高いエレベーターメンテナンス業界。事業の立ち上げに関われることなんてめったにありませんし、『誰もやったことがない』という一言に惹かれて、オファーを受けました。実は私自身エレベーターの保守点検は、できるなら管理会社が行ったほうがいいとつねづね思っていました。というのも、ほとんどの管理会社はエレベーターの専門知識を持ち合わせていないため、点検に立ち会うこともなく、実際にどのような点検をしているのかも分からないまま報告書にハンコを押すだけになってしまうことも少なくありません。もちろん、故障したら委託会社にほぼ丸投げとなってしまいます。それらがすべて悪いわけではないのですが、管理会社が自らエレベーターを管理できていれば、不測の事態にもっとスムーズに対応できる。それなら、内製化した方が良いじゃないかと思っていたんです」
創業当初、技術員は森本1人でしたが、仲間を増やし、いまでは2人1組の2チーム体制に。スターツグループの物件を中心に、180棟・238基のエレベーター(一部エスカレーター)の保守点検を担っています。

森本───「主な業務は、定期点検、予防保全、法定検査などから、故障や閉じ込めの対応も24時間365日体制で行っています。小さい会社なので、まだまだこれからの部分もありますが、新しいことにもどんどんチャレンジしていきたいです」
作業は1日4基まで。数をこなすより、丁寧な点検を追求

始業は朝9時。技術員は工具を持って現場へ向かいます。テナントの開店前や閉店後にしか立ち入れない物件では、早朝や深夜に作業がずれ込むことも珍しくありません。現場に到着後、慣れた手つきでエレベーターを点検モードに切り替えると、おもむろにハケを取り出して床に屈みます。何やら、最初に行うルーティンとのこと。
森本───「エレベーターのドアがスライドする敷居溝(ドア下のレール)を掃除しています。清掃業者も入っているのでここまでやらなくても良いのですが、ご利用者様に気持ちよく使っていただきたくて。スターツグループが管理させてもらっている物件のエレベーターですから、点検だけに留まらず、少しでもキレイに保てればと思い行っています」


ビル屋上の機械室での点検作業を行う森本


掃除が終わると、いよいよメインの点検です。主な目的は、“異常がないことの確認”。停止位置の調整やロープの摩耗、ブレーキパッドの劣化など、見えない部分をチェックし、緊急性の高い箇所はその場で修理、レポートにまとめてビルの管理担当者へ共有します。
「調整が上手くいかないと、極端にいえばエレベーターの停止位置がズレてしまい、フロアとの間に段差ができてしまうこともあります」と語るのは、機械好きが高じてリフトマネジメントに転職した保守技術主任の井坂聡。

「点検中」シールを貼る井阪
井坂───「点検は、危険と隣り合わせの環境でもあります。ご利用者様が乗るエレベーターの箱を“カゴ”と呼びますが、カゴの上下に点検箇所があり、歯車やワイヤーが剥き出しになっています。そこでは少しの油断が事故につながります。細心の注意を払いながら各階ごとに点検していくので、1基見るのにだいたい1時間以上は掛かるのですが、これだけ丁寧に点検する会社って、実は多くないんです」
井坂は、メーカーの点検会社から転職してきた技術者で、この道20年を超えるベテラン。そんな彼から見て、リフトマネジメントの作業は、とにかく丁寧さにこだわるのが特徴だといいます。
井坂───「1日に点検する基数は、売上に直結するシビアな部分です。1日に大体7〜8基のエレベーターを点検するのが一般的ですが、私たちは、1日4基を目安としています。点検時に違和感を感じたとしても、毎日のノルマがあるから次回対応しようとか、点検中に修理の必要が生じた際に、点検箇所を飛ばしてでも直す時間を確保するとか、そういった中途半端なことはしたくありません。安全を確保するという本来の役割を果たすには、4基までがベストだと考えています」
「1日4基。これは私たち技術員のプライドです」——井坂は力強い眼差しでそう言います。数を求められるのではなく、1基1基を丁寧に作業できることが、リフトマネジメントに転職を決めた理由のひとつでもあったそうです。

足元はスタッフの安全を守る安全靴
時間をかけて丁寧に点検することが、安全を支える第一歩。当たり前なようでいて、簡単なことではありません。リフトマネジメントの強みは、まさに愚直なまでのその姿勢にあるのです。
リフトマネジメントがこだわり続ける「安全」。現場ではどのように定義し、共有しているのでしょうか。後編では、技術員の安全にかける"想い"に迫ります。
後編は下記リンクよりご覧ください。
リフトマネジメント株式会社
- 営業時間
- 9:00~18:00(土・日・定休)
- 電話番号
- 03-6870-7874
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