2025年4月25日
建設現場を激変させる「BIM」の可能性に迫る

建物の照明器具ひとつでも、寸法、素材、メーカー、コスト、そして組み立ての工程に至るまでの情報を取り込み、データベース化する「BIM-FM PLATFORM」。スターツはこのシステムを活用して、業務の効率化だけでなく、お客様に建物を建てる前から建てた後の運営・維持管理まで満足とご安心をしていただけるサービスを心掛けてきました。ここでは実際に建物のデータがどのように使われているか、具体的な事例をもとにご紹介します。
目次
- 1. BIM活用物件紹介
- 2. こんなところでBIMを活用!
- 3. BIMのさらなる現場活用を目指して
BIM活用物件紹介
事例としてご紹介する物件はスターツグループの建設部門であるスターツCAMが手掛けたもの。プロジェクトの概要からBIMの可能性に迫ります。

本プロジェクトのオーナーである法人様の現本社屋が都市計画により立ち退きが決定。本計画は、企業寮跡地に法人様の本社機能と企業寮、そして賃貸住宅を配置した複合用途の建物としてスターツCAMが受託しました。本社機能のBCP(事業継続計画)対策として、吊床免震構造を採用し、屋上へ太陽光発電や非常用発電機を設けることで、本社機能が維持できる最低限の電源を確保しています。また地域貢献として、外構部に井戸・かまどベンチ・マンホールトイレを計画し、平時の街への潤いと非常時の生活用水を確保。さらに、これからの環境に配慮した建築として、事務所部分では56%の省エネを達成しています。外観は周辺への圧迫感を軽減するため、アースカラーでまとめ水平ラインを強調しつつ、ランダムに配置されたルーバー(細長い羽板を枠に対して一定の間隔で隙間を空けて垂直に並べたもの)により柔らかく包み込まれるデザインにしています。
こんなところでBIMを活用!
では、プロジェクトを進めるにあたって、どのようにBIMを活用したのでしょうか? 4つのケースをご案内します。
BIMモデルでの測量


現場でデモを行い計測したデータをCAD、BIMそれぞれで確認し施工精度検証を実施。建物内部の基準墨を使ってバルコニー勾配も計測し、今後の活用方法に向けての検証を行いました。
コンクリート(CON)の積算

各階、工区ごとに細かく数量を積算することができます。BIM モデルで範囲を確認することで細部までの検討を着工段階から行いました。柱頭免震と基礎免震の取り合いなどの複雑な部分では多岐にわたる関係者とのイメージ共有に大きく貢献。数量誤差は、基礎部を除き、基準階ではほぼ誤差なしの結果となりました。
足場数量の算出


BIM モデルで仮設計画を行い細部までの検討を着工段階から行いました。セットバックなど建物形状のイメージがつかみづらい箇所を事前検討することで、大きな手戻りの抑制につながりました。BIMデータをエクセルに出力し足場資材の発注を試行しましたが、手計算との効率化は今後の課題です。
お客様へのVR案内


躯体の状態の現場とBIM から作成した完成イメージのVR 空間を重ね合わせ、交互にお客様に体験してもらい、完成した空間イメージの合意形成を図りました。
このようにBIMを活用することで、コストや作業工数の算出、そしてお客様をはじめ関係各所との合意形成がスムーズに行われました。
お客様へのプレゼンテーションでBIMの技術をフル活用
BIM活用物件紹介

駅前の好立地で、店舗+共同住居の10階建ての案件では、提案時に3D模型を作成してお見せしたり、VRを体感していただいたりと、持ち得るBIM技術をフル活用。施主様の嗜好を会話の中から紐解きながら、パースを作成し、3D空間上で色味の提案も行いました。施主様の土地に何が建つかを建築基準法や条例などから読み解き、ご要望をお伺いしながら少しずつ形にしていく、まさに「一からモノづくり」をする完全オーダーメイド型の設計です。企画設計、基本設計、実施設計を一貫してひとりの担当者が行い、「設備設計・構造設計・BIM・コスト管理」と連携しながら一つのプロジェクトを進めました。施主様よりありがたいお言葉をお手紙にて頂くなど、完成するまでに至るコミュニケーションにおいてもご満足いただけた事例です。
2024年度グッドデザイン賞を受賞した「ROYAL BLISS Asakusa」にもBIMを活用
BIM活用物件紹介/ROYAL BLISS Asakusa

計画地は施主様の創業の地。浅草国際通りに面し、TX浅草駅も近接し、地元の人々の往来だけでなく、観光客も多く訪れるエリア。施主様の本社屋建て替えに伴い、1階にオフィス、上階に賃貸住宅を26戸を計画。地域景観を見直すきっかけとなるようなデザインを目指し、結果、デザインを超えてライフスタイルにまで影響を与えうる作品として評価をいただきました。
BIMのさらなる現場活用を目指して
スターツCAM では設計施工のプロセスの中で、お客さまや関係者との合意形成や実際の施工現場での事前検討、合理化や効率化、品質向上にBIMを活用しています。入居募集ではBIMデータからVR を作成してバーチャル物件案内を行うことが可能です。さらに、竣工後にはBIMデータをクラウド建物維持管理システム(FMIntegration)に連携して、建物台帳や中長期修繕計画を作成できます。維持管理のプロセスでは、点検や修繕工事などの予定や実績を反映することで、ビルオーナー様にとって最適な維持管理計画を提案することも可能です。このように、BIM データはスターツグループの中核となる事業において、設計施工・募集・維持管理の分野での活用が大いに期待できます。将来的には設計施工の現場ではIOT やロボットとデータ連携をしたり、BIM-EC で工事見積や入札を行って資材調達を行ったり、また不動産の鑑定評価や公共施設管理へのBIM データの活用など、総合不動産サービスのDATA PLATFORM を目指しています。
さらにBIM-FM PLATFORMについて詳しく知りたい場合は
>>「進めBIM-FM PLATFORM」
https://bim-fm.starts.co.jp/
建物のデータ化の現場はカンボジアに!?
>>「紙の図面はもう古い?建設・管理業界のDX最前線とは」
https://www.starts.co.jp/column/article14/
スターツが牽引するBIM活用とまちづくりの未来
>>「まちづくりの未来のために。スターツが進める一気通貫の建設データの活用」
https://www.starts.co.jp/column/article15/
- 営業時間
- 9:00~18:00(水・日・定休)
- URL
- https://bim-fm.starts.co.jp/
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