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International Column

Global Letter インド編

インド
~在インド日系製造業から学ぶ、新規進出の好機~

目次

1.インド 注目されている理由

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本号の海外コラムでは、スターツグループの現地法人であるSTARTS INDIA PRIVATE LIMITEDの責任者・宮本と共に、日系企業のインド進出の実態をご紹介します。現在、世界人口は(2025年8月初旬時点で)は約82億6,700万人と、前年に比べて1億1,300万人増加しており、1分間に約156人のペースで増え続けています。その中でもインドは、2023年に中国を抜いて世界最多の人口を有する国となりました(2024年7月時点の推計:14億4,000万人╱国連人口推計2024年改定版)。一方で、日本国内では少子高齢化が進み、毎年の出生数が減少傾向にあります。2024年の統計によると、日本で1年間に生まれた子どもの数は68万人と、厚生労働省が統計を取り始めて以来初めて70万人を下回りました(前年より約4万人の減少)。このように、日本では今後、労働力不足や、モノ・サービスを消費する人口の減少が懸念される中で、世界に目を向けると新たな可能性が広がります。労働力の確保や、市場拡大による売り上げ増加などを見込めるインドは、今後、日系企業にとってますます重要なマーケットになると筆者は考えています。次章では、インドに進出した日系企業の「進出後」の実態について、具体的にご紹介していきます。

(出典)・今後80年間の世界の人口推移ランキング 2019-2100_Bilibili_bilibili

  ・インドでの競争環境(1)日系企業の8割が黒字も、当面は国内に注力 | グローバルサウスでの競争激化、求められる日本企業のポジショニングとは - 特集 - 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 - ジェトロ


2.在インド日系企業は黒字?赤字?


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日系企業のインド進出のきっかけは、1991年のインドにおける経済自由化政策とされています。当時、インド政府は外資導入に向けて市場の開放を進め、外資規制の緩和が実施されました。これにより、日系製造業がインド市場へ進出できる環境が徐々に整い始め、日本の自動車メーカーがいち早くインド市場に注目し、進出を果たしました。2024年度の「海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」によれば、インドに進出している日系製造業の多くが黒字経営となっており、過去最高を記録しています。特に製造業分野において顕著で、中でも中小製造企業のDI値(注1)が60.9(注2)に達しており、これは極めて高い水準です。この調査には日本国内のデータは含まれていませんが、参考までに同じく中小製造企業の日本国内でのDI値は6.0となっており、インドと比べて約10倍の差が見られます。DI値とは、景気動向や経済の方向性を把握するために用いられる指標であり、主に鉄・非鉄・金属など自動車や機械に不可欠な部品分野において数値の上昇が見られています。この背景には、世界最大を有するインドの人口構造が関係しています。インドの平均年齢は28歳前後と世界的に見ても非常に若く、労働人口や消費層の拡大が見込まれています。2021年時点では、インド国内における中間所得層が全体の31%を占めていましたが、2030年には約47%、すなわち人口の半数近くが中間所得層になるとの予想も出ています。経済成長により、これまでバイク中心だった低所得層の交通手段が、自動車へのシフトへと進むことが期待されています。これは、価格が安く維持費のかからないバイクから、より快適な移動手段である自動車への需要が高まることを意味します。そのため、今後、日本の自動車関連企業のインド市場における事業拡大はさらに加速していくと考えられます。インド現地責任者である宮本によれば、現在、インド進出に関する新規のご相談の中でも、自動車関連企業の割合が非常に高く、進出企業数は増加傾向にあり、今後はさらにその勢いが加速していく見込みです。

(出典)・インドでの競争環境(1)日系企業の8割が黒字も、当面は国内に注力 | グローバルサウスでの競争激化、求められる日本企業のポジショニングとは - 特集 - 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 - ジェトロ

・インドの経済自由化 - Wikipedia

(注1) DIは景気動向をみるために構成されている経済指標の改善した割合を0~100%の数字で示したものです。
(注2)インドに進出している日系企業の約85%が大企業で、中小企業は約15%にすぎず、サンプル数が少ない点には、留意しておく必要があります。

3.インドへ進出した各国企業の競争環境



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前章から、在インド日系企業のうち、製造業が堅調に黒字経営を維持していることがわかりました。さらに製造業の企業のうち、「今後も事業を拡大していきたい」と回答した企業は79.7%にのぼり、これは直近で最も高い数値になっています。このことから、今後インド市場において事業拡大をめざす企業間での競争が激化することが予想されます。ところが表3に示されている「日系企業がインド市場で競争力が強いと感じる国」に関する調査では、やや意外な結果が出ています。最も競争力があるとされたのは「国内の地場企業」(50.0%)であり、世界人口第2位の大国である「中国企業」を挙げた割合はわずか6.2%にとどまりました。この結果は、筆者にとっても驚きでした。インドは中国に次ぐ人口大国であり、近年は消費市場としても注目されていますが、実際には「中国企業の存在感が弱い」と感じている日系企業が多いようです。その背景には、インド政府が2020年4月以降、中国を含むインドと国境を接する国からの投資に対し、事前に政府の許可を必要とする制度を導入したことが考えられます。さらに、インド国内では一定の品質や安全の基準を満たした製品しか販売できないよう、BIS(インド標準局)による認証の取得が義務付けられています。これも、中国企業にとってインド市場への参入を難しくしている要因といえます。このように、インド市場は中国企業と直接競合する機会が相対的に少ない、世界的にも稀有な環境であると言えます。そのため、日系企業をはじめとする他国の企業にとっては、インドでのシェア拡大や進出検討する好機であると考えられます。

(出典)・在インド日系製造業のいま | 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 - ジェトロ


4.エリア選定のポイント


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インド現地責任者の宮本によれば、日系企業が新規進出の検討をする際、どのエリアに進出するか事前に決めているケースは少なく、まずはどのエリアに出すべきかという現地の情報収集としてのご相談が多いようです。目次2で記載した自動車関連企業では、同業種の企業が多いとされるハリヤーナー州の中でも、マネサールという★部分の工業団地が人気です。日本人居住エリアのグルガオンから最も近い工業団地で、他のエリアよりもインフレが整備されていることから駐在員の通勤がしやすい点が人気の理由に繋がっています。その影響で、当該工業団地の価格が上昇し、空き区画も僅少であることから、隣のラジャスタン州にあるニムラナという工業団地も自動車部品企業の進出エリアとして検討先の1つとなっています。このニムラナ工業団地には日本企業専用の区域があり、土地価格が非常に安いとされています。一方、マネサール工業団地は立地・インフラ・利便性を重視する企業に人気であり、土地価格が高めで、1㎡あたり2,000~4,000ルピー程度です。これに対して、ニムラナは都心からの距離があるものの、マネサールの半額以下の価格で取得できるケースが多くみられます。こうした日系企業のインド進出においては、目的に応じたエリア選定が鍵になります。

(出典)首都圏マップPDF、HD PNG、JPG ダウンロード– MapInside


5.新規進出における注意点

インド現地責任者の宮本によれば、日系企業からの新規進出に関する相談は多く、インドへの関心の高さがうかがえます。しかし、進出にあたってはいくつか注意するべき点があると指摘します。最近、インド国内の日系企業の動向について、コンサルティングA会社と情報交換を行ったところ、進出を検討している企業に対し、「他国と比較してインフラが不整備であること」や「各種ライセンスの取得に時間とコストがかかること」などの課題を伝えているとのことでした。例えば、地元企業の買収時や、オフィスの住所変更のたびにライセンスを再取得が必要となるなど、慎重な対応が求められます。一方で、インドは人口規模に裏付けされた魅力的なマーケットであるうえ、参入障壁の高さから競合が参入しづらく、日系企業にとってはビジネス拡大の好機と捉えることもできます。ただし、進出にあたってはトラブル発生を前提に計画を立てる必要があり、想定通りに物事が進まない可能性も高いといえます。だからこそ、早い段階での現地視察や、正確な情報収集が不可欠であると筆者は考えます。

6.スターツの強み

STARTS INDIA PRIVATE LIMITEDは、スターツグループのインド現地法人として首都近郊のデリーとグルガオンに拠点を構えています。急成長を続けるインド市場において、主に日系企業の進出や駐在に伴う住居・オフィス・工場などの不動産手配を中心に契約から退去までの一貫したサポートを提供しています。スターツグループが日本国内で運営している「ピタットハウス」を通じて不動産仲介を経験した、現地の事情に通じた日本人スタッフが対応することで、言語や商慣習の違いによる不安を軽減し、安心して現地での生活やビジネスを開始いただける体制を整えております。特に新規進出をご検討中の企業様にとっては、現地事情に不慣れなことから様々なリスクが発生しやすく、「誰に、何を、いつまでに、なぜ?」という視点をもった段取りが非常に重要です。実際には、現地での体制構築において調整先の多さから情報伝達の漏れや遅れが発生し、スケジュールの遅延やコストの増加、業務開始の遅れといったリスクに繋がるケースも少なくありません。ご担当者様にとっては、大きな負担やストレスに感じる場面も多いのではないでしょうか。私たちスターツは、現地事情に精通したスタッフが貴社の一員のように段取りを組み、業務を「見える化」することで、複雑かつ膨大なタスクに伴うリスクの回避をサポートいたします。また、日本側の窓口を担うスターツコーポレーション国際事業本部のソリューション1課では、日系企業の人事部・総務部の皆様と直接お会いし、海外赴任や進出に関する些細なご相談にも丁寧に対応しております。近年では、進出を「検討段階」からご相談をいただくケースが増加しており、今後のご計画に関するお悩みについてもお気軽にご相談いただけます。ご不明点やご質問がございましたら、以下の連絡先までお気軽にご連絡ください。


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