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海外不動産通信:パリ不動産投資の魅力と市場動向 ―資産保全とユーロ分散の新たな選択肢―


パリ不動産投資の魅力と市場動向

これまで当社では米国やアジア各国、ヨーロッパではドイツやイギリスなどの海外不動産情報を中心にお届けしてまいりましたが、新たに欧州を代表とする都市であるパリの不動産もご案内できるようになりました。

パリは言わずと知れた世界有数の観光都市であると同時に、歴史的建築物と美しい街並みが厳格に保全された都市でもあります。こうした都市構造を背景に、住宅需要は長期にわたり安定しており、不動産市場は「資産を守る」ことを重視する世界中の投資家から高い評価を受けています。

さらに昨今は、世界的な金融環境の変化や円安の進行を受け、「どの国・どの通貨で資産を保有するか」という視点の重要性が一層高まっています。ユーロは米ドルと並ぶ基軸通貨の一つであり、資産通貨の分散、さらには地政学的・経済学的リスク分散の観点からも、ユーロ建て資産を保有する意義は決して小さくありません。

本記事では、パリの不動産市場の特徴や投資のポイントについて、近年の市場動向を踏まえながらご紹介いたします。


パリの概要

パリはフランス共和国の首都であり、政治・経済・文化の中心都市として、長年にわたりヨーロッパ全体を牽引してきた都市です。 市内人口は約210万人、都市圏全体(イル=ド=フランス地域)では約1,200万人を擁し、ロンドンに並ぶ欧州有数の巨大都市圏を形成しています。市内の面積は約105.4㎢と非常にコンパクトで、東京23区(約627㎢)の6分の1以下に過ぎません。地震や台風などの自然災害リスクが非常に少なく、歴史的建築物と美しい街並みが保たれている都市です。

パリ市内は1区から20区までの行政区で構成されており、中心部から外側へ渦巻き状に広がる独特の都市構造を持っています。この20区構成は単なる行政区分ではなく、各区ごとに歴史、住民層、価格帯、政治思想、生活環境が大きく異なる点がパリの大きな特徴です。    
パリ不動産
パリ20区マップ

①高級住宅街・資産家・外交官が多いエリア

 
パリ不動産の築年数 -6区:パリ最古の教会サン ジェルマン デ プレ。文化や商業の中心となるエリア 
-7区:エッフェル塔やオルセー美術館周辺、政府機関や大使館が集約したエリア 
-8区:シャンゼリゼ周辺、オフィスや商業エリア。 
-16区:高級住宅街。ファミリー層から人気のエリア。

② 観光・商業・文化が混在した中心部エリア

-1区:ルーブル美術館周辺 
-2区:商業・IT産業の中心となるエリア 
-5区:学生街、ソルボンヌ大学周辺

③ 労働者層・若年層・移民が多いエリア

-10・11区 
-18・19・20区:観光客を狙った軽犯罪が日常的に発生しているだけでなく、薬物問題や治安対策の強化が行政レベルで行われている地区も含まれています。

*日本人から人気の住居エリア:15区・16区

治安が良く閑静な住宅が広がるエリアです。日本人学校へのアクセスが良く、日系スーパーや日本食レストランも充実しており、日系駐在員、ファミリー層から人気があります。

 パリの不動産市場は、同じ都市内であっても区ごとに価格帯や特性が大きく異なります。一般にセーヌ川より西側の区(①6・7・8・16区など)は右派的傾向が強く、資産家層や外国人居住者が多いことから、不動産運用においても比較的柔軟な実務対応が見られます。一方、東側の区(③10・11・18~20区など)は左派的傾向が強く、家賃規制や居住保護政策が厳格に運用される傾向があります。そのため、パリ不動産への投資では、価格だけでなく「どの区の政治的・社会的性格か」を踏まえたエリア選定が重要な判断要素となります。 

パリ不動産市場の特徴

①長期的に安定した価格推移

パリの住宅価格は、急激な上昇や下落が比較的少ない傾向があります。例えば、世界的な金融危機となった2008年リーマンショックの際も、他の国際都市と比較して価格下落は限定的でした。    
パリ不動産市況
パリ・ロンドン・NY・東京の不動産価格の推移

近年の動きを整理すると、市場は以下の3局面を経ています。

• 2020年:コロナ禍により一時的に取引停滞

• 2021年:金融緩和と低金利を背景に急速回復、価格・取引ともに上昇

• 2022〜2024年:インフレ局面での利上げにより価格下落・取引減少

• 2025年以降:金利上昇一巡により市場は安定、現在は「調整後の回復初期段階」

現在は買い手優位の環境が整いつつあり、冷静な投資判断がしやすいフェーズにあります。

②供給が増えにくい都市構造

パリ不動産の大きな特徴の一つが、その希少性です。 パリ市内の面積は約105.4 k㎡、東京23区(627.57 k㎡)の6分の1以下です。 中心部においては19世紀に行われた都市改造によって現在の街並みが形成されました。この改造により、石造りの集合住宅や統一感のある街並みが整備されましたが、同時に建物の高さや外観に関する規制が厳しく設定されています。 このため大規模な再開発は難しく、新規供給が限定される構造となっており、需給の引き締まりが価格の下支え要因となっています。   

パリ不動産の築年数
パリ市内の住宅の築年分布:約50%が1946年以前の建物

 
パリ不動産の築年数
7区の住宅築年数の分布:約72%が1946年以前の建物
参照:https://www.adil75.org/wp-content/uploads/2023/09/Fiches_territoriales_2023.pdf

③人口と世帯数の推移

2000年代後半以降、総人口は緩やかな減少傾向にある一方で、世帯数は横ばいから微増で推移しています。 これは、単身世帯やDINKSの増加による平均世帯人数の縮小が主因であり、人口減少が必ずしも住宅需要の減少を意味しないことを示しています。 同時に、外国人比率(フランス国籍を持たない居住者の割合)は、約12〜13%という高水準を維持しながら、近年は概ね安定的に推移しています。 2000年代初頭をピークにわずかに低下しているものの、この動きは外国人の流出によるものではなく、長期滞在者の帰化や定住化が進んだ結果、国籍ベースの「外国人」から外れる人が増えたことによる構造的変化と整理できます。 重要なのは、外国人比率が高水準で安定していることと、世帯数が維持されていることが同時に起きている点です。 人口全体は減少していても、都市への流入と流出の回転は依然として大きく、学生、研究者、外国人就業者、駐在員などの流動性の高い層が継続的に流入しています。このため、パリは「定住人口が増える都市」ではなく、人が常に入れ替わりながら居住需要が保たれる都市構造にあります。

 
パリ不動産の築年数
パリ人口と世帯の推移
人口:https://www.insee.fr/fr/statistiques/serie/001760155 世帯数https://www.insee.fr/en/statistiques/6457611?geo=DEP-75

パリ不動産の注意点

■規制の影響(賃貸・民泊)

賃料規制(家賃上限規制)や短期賃貸(民泊)に対する規制が厳しく、想定通りの運用ができないケースもあります。 ⇒パリ20区は政治思想(右派・左派)が区ごとに明確です。家賃規制は左派エリアで厳守されやすく、右派エリアでは外国人・法人向け賃貸で規制外運用が実態として存在しているため、 安定した賃貸収入を狙うなら、7区・15区・16区(駐在員・外交官が多いエリア)が有望です。

■修繕について

パリの不動産は築100年前後の物件も珍しくなく、「古い=すぐ壊れるのでは?」と心配されがちですが、管理組合による計画修繕が行われており、この組合の機能が重要となります。

定期的に行われる主な工事:

・外壁修繕・クリーニング店屋根修繕

・エレベーター更新

・配管工事(縦管)

・共用階段・共用部改修

⇒これらの点については、購入時のデューデリジェンスで開示される各種資料を十分に確認したうえで、不動産会社や交渉人、案件によっては建築会社やリノベーション会社にも意見を仰ぐことが重要です。特に室内(専有部)については買主側での手配が基本となるため、購入後すぐに利用する予定がある、修繕発生を避けたい場合は、すでにリノベーションが完了している物件を選ぶことをおすすめします。

近年は夏場の暑さからエアコン設置の可否が話題になることもありますが、パリでエアコンが本当に必要になるのは年に数日程度であり、実際には風通しが良く、遮光性に優れた部屋であれば、エアコンがなくても大きな支障なく快適に過ごせるケースがほとんどです。

■環境規制(DPE規制)

物件ごとにエネルギー効率をA~Gで評価されます。評価の低い物件は、将来的に賃貸禁止となる可能性があり、追加のリノベーション費用が発生する場合があります。2025年1月よりF・G評価の物件については賃貸契約・更新が禁止されており、改修義務が課せられています。2032年以降はD以上でなければ原則賃貸不可となる見通しとなっています。
 ⇒自己利用であれば規制にかからない、DPE評価の低い物件を割安で購入する戦略も有効的です。賃貸目的であれば、D以上を取得もしくは、取得後にD以上へ改善可能な物件のみ検討することが望ましいです。

■税務について

日仏租税条約により「所得課税」においての二重課税は調整可能ですが、「どう使うか(住む・貸す・空ける)」によってその他の税務コストが変動します。また税法も変わっていく可能性があります。  
パリ不動産の築年数

 固定資産税や住民税を算出するための、フランス不動産の「評価額」は国が算出する想定年間家賃です。実際の家賃・購入価格とは無関係で市場家賃の 2〜3割以下 が一般的です。そのため日本に比べ保有時の課税は軽いですが、使用状況で税率が異なり住む・貸す=前提という運用設計が、税務リスクを抑え、長期的に安定した保有につながります。

不動産の購入フロー

パリ不動産の購入フローは、日本と似ている部分もありますが、公証人が中心になる点や契約プロセスの厳格さが特徴です。

① 物件選定・内見

② 購入申込

③ 売買予約契約:手付金(通常5〜10%)を支払い

④ クーリングオフ期間(10日間)

⑤ 融資・デューデリジェンス:公証人が以下を調査:

• 権利関係

• 建物管理状況(管理組合)

• 税金・負債

⑥ 最終契約

⑦ 登記:公証人が実施(数か月かかる)

■期間の目安

約2〜3ヶ月

■費用

購入時:物件価格の7~10%(登録税・登記費用・公証人費用)

■注意点:

・③売買予約契約ア実質的に拘束力が高く日本の売買契約に近い法的な重みがあります。

 -売主は原則として一方的にキャンセル不可

 -買主も、④クーリングオフ(10日)を過ぎると正当な解除条件がなければ手付金没収

・物件表示価格に「何が含まれているか」を必ず確認が必要です。フランスの広告価格には2パターンあり、FAI(仲介手数料込み)とNet vendeur(仲介手数料別)どちらかの表記となります。また仲介手数料は法律で決まっておらず、原則売主が設定しています。

物件概要

   

パリ不動産 住所:37 rue Vineuse 75016 Paris 

エリア:16区 価格:€1,250,000(212,500,000円*€1=170) 

延床面積:77㎡ 

間取り:1Bedroom 

想定実質利回り:2.75%

►トロカデロ広場とパッシー通りの間という絶好のロケーションに位置しています。エッフェル塔やセーヌ川へも徒歩圏内で、パリの魅力を日常的に体験できる立地です。

►当部屋は完全にリノベーションされエアコンも完備しています。さらに専用の地下貯蔵庫も付属しており、ワインコレクション、大型の荷物なども安全に保管できます。

まとめ

パリ不動産は短期的な収益を狙う投資というよりは、長期的な資産保全・分散投資として有効的な選択肢です。

購入フロー自体はシンプルであるものの、購入名義や公証人制度、税務面などで専門的な理解が求められる場面も少なくありません。 ・具体的にどのエリアが適しているか

・予算に応じた物件提案のご提案

・税務やご名義の設計

などを個別のご状況にご案内しています。

現在、日本の投資家がパリの不動産市場に参入するメリットは、為替リスクをどのように捉えるかによって評価が分かれます。しかし、中長期的に円安基調が続くと見込まれている環境を踏まえると、現時点は「買い時」と捉えることができます。

足元のパリ市内の不動産市況は、決して悪化しているわけではありませんが、需給バランスの点では明確に買い手有利な市場となっています。特に、コロナ前と比較すると市場に出回る物件の選択肢が増えており、立地や条件の良い物件を時間かけて選ぶことが可能です。

結果として、条件面・価格面の双方において、投資判断を冷静に行えるフェーズにあることが、今のパリ不動産市場の大きな魅力です。

パリ不動産にご興味をお持ちの方は是非お気軽にご相談ください。


スターツでは、海外不動産の売却だけでなく、相続を見据えた資産整理の観点からもご相談を承っています。 個人名義で保有している海外不動産について、 今のうちに何を整理しておくべきか、売却と保有継続のどちらが適しているかを丁寧に確認しながら、 状況に応じたご提案を行います。 海外不動産の売却・管理・将来整理に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。