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CRE戦略とは?意味・目的・主な施策を解説


CRE戦略とは?意味・目的・主な施策を解説

CRE戦略とは、企業不動産を経営資源として見直し、売却・賃貸・拠点統合などで資産効率や収益性の向上を目指す考え方です。 国内拠点だけでなく、日系企業の海外拠点・海外工場を含めたCRE戦略の意味や目的、主な施策、PREとの違いまでを解説します。

CRE戦略とは?

CRE戦略とは、企業不動産を単なる保有資産ではなく経営資源として捉え、国内外の拠点を事業方針に沿って有効活用する考え方です。

補足解説

CRE(Corporate Real Estate)は、「企業不動産」を意味し、企業が所有または利用するさまざまな不動産を対象としています。 具体的には以下のような不動産が含まれます。

  • 本社や支社などのオフィス
  • 工場、倉庫、店舗
  • 社宅や遊休地

日系企業の場合、国内拠点だけでなく、海外子会社が保有または利用する不動産も対象です。 これには、海外子会社の工場や物流施設、営業拠点などが含まれ、グローバルに事業を展開する企業ほど、対象となる不動産の範囲は広がります。

CRE戦略の目的は、不動産を単なる保有資産として維持するのではなく、企業の経営戦略と連動させながら、売却・賃貸・再開発・統合などさまざまな選択肢を検討し、より効果的な活用方法を見つけることです。 不動産の活用方法を見直すことで、経営課題の解決につなげていきます。

また、不動産は企業の総資産の中で大きな割合を占めることが多いため、その活用方法を見直すことは経営全体に大きな影響を与える可能性があります。 不動産をどのように管理・活用するかを経営戦略の一環として考えることが、企業価値を高める重要な要素となります。

CRE戦略の主な目的とメリットは?

コスト削減や財務体質の改善、経営最適化、リスク分散が主な目的とメリットになります。

補足解説

CRE戦略の目的は、企業不動産の持ち方や使い方を見直し、経営にとってより効率的な状態に整えることです。 具体的なメリットは以下のとおりです。

コスト削減
不要不動産の売却や賃貸、拠点統合によるコスト削減が期待できます。
キャッシュフローの改善
不要資産の売却や再配置によって得られた資金を、事業拡大や設備更新に活用できます。
サプライチェーンの最適化
拠点配置の見直しで物流効率を向上させ、地政学リスクへの対応にもつながります。
サステナビリティ対応
エネルギー効率の高い建物への移転や、テレワークに対応したオフィス整備など、環境に配慮した不動産戦略を進めやすくなります。

とくに海外拠点を複数持つ企業では、各拠点の稼働率や収益性、維持コストを横断的に把握することが重要です。

また、財務面だけでなく、経営判断のスピード向上も見逃せません。状況を可視化することで、撤退や再配置、投資判断がより迅速かつ合理的に進めやすくなります。

CRE戦略で行われる主な施策は?

遊休不動産の売却や賃貸、拠点の統合、建替えや再開発、海外拠点の再編などが主な施策です。

補足解説

CRE戦略では、自社が保有する不動産の状況や経営方針に応じて、さまざまな施策を組み合わせて実行します。 代表的な施策は以下のとおりです。

遊休不動産の活用
使われていない土地や建物を売却または賃貸することで収益化を図ります。
拠点の統合
複数の拠点を集約し、管理コストや運営負担を削減します。
再開発・建替え
老朽化した施設を再開発して、不動産価値の向上を目指します。
海外拠点の再配置
稼働率が低い工場や物流拠点を統廃合・再配置し、全体最適を図ります。
賃借契約の見直し
賃貸契約の更新や面積縮小、立地変更を通じてコスト削減につなげます。

また、環境への配慮やテレワークに対応した拠点の見直しが含まれることもあり、企業イメージの向上や従業員の生産性アップにもつながります。

CRE戦略を実施するときのステップは?
― 海外拠点では国内とは異なる視点も必要 ―

CRE戦略は、場当たり的に不動産を売却・取得するのではなく、一定のステップに沿って進めていくことが重要です。

とくに海外拠点が関わる場合は、日本本社の意思決定と現地での実務を同時に進める必要があるため、より体系的な進行が求められます。

一般的には、以下の4つのステップで進めるのが基本です。

  1. リサーチ
  2. プランニング
  3. プラクティス
  4. レビュー・アクト

1. リサーチ

リサーチでは、自社が保有・利用している不動産の全体像を把握します。国内外の拠点を含めて棚卸しを行い、立地、稼働率、収益性、維持コスト、契約形態などを整理することが出発点となります。

海外拠点の場合、これに加えて、所有権の状況や登記の有無、利用権限の整理、契約や法制度上の制約など、現地特有の確認事項を初期段階で把握しておくことが重要です。

正確な情報をもとに、活用できている資産と課題を抱える資産を明確にすることで、次のステップにつなげていきます。

2. プランニング

プランニングでは、リサーチで把握した課題を踏まえ、具体的なCRE戦略を立案します。売却・賃貸・統合・再配置・建替えなどの選択肢を整理し、施策の優先順位を決めていきます。

この段階では、不動産単体の条件だけでなく、事業計画や人員配置、財務への影響、日本本社での稟議プロセスも考慮する必要があります。

とくに海外案件では、現地では合理的に見える判断であっても、日本本社の意思決定基準やリスク評価とズレが生じるケースも少なくありません。日本的な判断軸と現地実務の現実をすり合わせながら計画を立てることが、失敗を防ぐポイントになります。

3. プラクティス

プラクティスは、立案した戦略を実際に動かしていく段階です。売却や取得、契約条件の見直し、拠点移転や統合などを通じて、CRE戦略を具体的に実行していきます。

海外拠点では、日本本社の稟議や意思決定に必要な資料を整えると同時に、現地で「実際に買える・売れる状態」を作るための準備が欠かせません。

具体的には、所有権関係や登記状況の確認、各種調査、契約書類の整備、当局対応など、国や地域ごとに異なる法制度や商慣習を踏まえた実務対応が求められます。 場合によっては、現地の弁護士や専門家と連携しながら、必要な調査や書類作成を進めることもあります。

スターツでは、日本本社の稟議に必要な比較資料や条件整理、リスク整理を日本的な感覚で行いながら、同時に現地法人が主体となって調査や実務対応を進める「両輪」の体制でサポートしています。

海外では、所有権の整理が十分でないまま工場や施設を利用し、売却段階になって想定外の権利者が現れるといったケースも珍しくありません。 こうしたリスクを回避するためにも、日本と現地、双方のルールや実務を理解したうえでの実行フェーズ管理が重要です。

4. レビュー・アクト

レビュー・アクトでは、実施した施策の成果を検証し、必要に応じて改善を行います。コスト削減効果や稼働率、収益性の変化を確認しながら、次の施策に活かしていきます。

CRE戦略は、一度実行して終わるものではなく、市場環境や事業方針、拠点の役割変化に応じて継続的に見直していくことが前提です。 国内外の拠点を横断的に管理しながら、柔軟に対応していくことが、長期的な企業価値向上につながります。

CREとPREの違いは?

CRE(企業不動産)は企業が保有・利用する不動産で、主に収益性や効率化を目指します。 一方、PRE(公的不動産)は政府や自治体が保有し、公共サービスや地域貢献が目的です。

補足解説

CREとPREはどちらも不動産を有効活用する考え方ですが、対象と目的が異なります。主な違いは以下のとおりです。

対象
CREは企業が保有・利用する不動産、PREは政府や自治体が保有する公的不動産を指します。
目的
CREは収益性向上や経営効率化、PREは公共サービスの向上、地域貢献、財政負担の軽減を目的とします。
判断基準
CREは企業価値や事業成長が軸となり、PREは地域全体の効果や行政サービスとの整合性が重視されます。
施策意図
CREは資産効率や収益性、業務効率化を重視し、PREは地域住民へのサービス提供や公共性の維持を重視します。

CREにおける企業不動産は、収益性や効率性の向上が主な目的です。事業の成長を後押しするために、不動産戦略が活用されます。 一方、PREにおける公的不動産は、地域社会の利益や公共サービスの提供が重視され、地域住民への貢献が最優先となります。

意思決定の基準にも違いがあり、CREでは企業の事業戦略に基づいた判断が行われるのに対し、PREでは地域全体のバランスや公共性が重視されます。

まとめ

CRE戦略とは、企業不動産を経営資源として捉え、売却・賃貸・拠点統合などを通じて資産効率や収益性を高める考え方です。 単なる資産管理にとどまらず、経営戦略と連動させる点が特徴です。

活用されていない資産やコスト負担の大きい拠点を見直すことで、財務体質の改善や経営最適化につながります。 グローバル展開する企業では国内外の拠点を横断的に管理することも重要で、サプライチェーンの最適化やリスク分散にも役立ちます。

市場環境や事業方針の変化に合わせて継続的に見直すことが前提で、遊休資産の売却・賃貸にとどまらず、拠点統合・再開発・契約見直しなど選択肢は幅広くあります。 経営課題と不動産の現状を結び付けて考えることが成功のカギです。

海外および日本の不動産をご紹介・管理する私たちスターツコーポレーション株式会社は、日系企業向け、不動産投資家向け、外国人向けなど、さまざまなニーズに応じたサービスを提供しています。

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