NEW YORK　～マンハッタンと周辺地域の賃貸市場～

マンハッタン周辺における家賃の実態

コロナパンデミック以降、ニューヨークの家賃は回復傾向にあり、近年上昇を続けています。上記グラフの青線は2008年1月から2025年4月におけるマンハッタンの月額家賃平均を表しています。グラフによると、マンハッタンの家賃はコロナ禍において一時的な値下がりを見せたものの、その後再度上昇し、2025年4月時点における月額家賃平均は＄5,250（日本円で約76万円）を超えています。　　＄1=145円換算 2025年5月28日時点

Manhattan Rental Market Report | MNS, Real Estate Obsessed

家賃変化による人々の動き

マンハッタンの家賃の高騰に加え、高金利による住宅購入ハードルの上昇やインフレによる生活コストの上昇により、コスト削減を求めて郊外での賃貸需要が高まり、人々がマンハッタンから郊外に移動する動きがみられます。特にマンハッタン西側のニュージャージーやクイーンズ、ブルックリンの人気が高まり、人口が増加しています。これらの地域はコストを抑えつつもマンハッタンへのアクセスも良いことが魅力のエリアです。特に、家族帯同の駐在員は学校環境を重視してニュージャージーを居住エリアとして選択するケースがみられます。ニュージャージーは多数の日系企業が拠点を構えていることから日本人が多く、いくつかの日本人学校もあることで人気のエリアです。また、就学児のいるファミリー層はマンハッタン北部のウェストチェスターに住む人が多い傾向にあります。

日系企業の動向

ニューヨークには多くの日系企業が進出しています。2023年時点でニューヨークに拠点を持つ日系企業は668社、在留邦人数は37,345人となっており、これは全世界で3番目に日本人の滞在が多い都市となっています。（2024年外務省調査結果）　ニューヨーク進出企業の多くはミッドタウンにオフィスを構えており、当該オフィスに勤務する駐在員においてはオフィス周辺の徒歩圏内で物件を選定する人が多くみられます。

一方で、先述の通りコスト削減を目的としてマンハッタン中心地から少し外れたエリアの物件を選定する方も見られます。特にマンハッタンとクイーンズの間に位置するルーズベルトアイランドやクイーンズ北西部のロングアイランドシティーで日本人駐在員が増えています。これらのエリアはマンハッタンと比較すると2割程度家賃が安いことに加え、静かで生活しやすいことから、未就学児帯同の駐在員も多く住んでいます。また、通勤に関してもマンハッタン内のエリアからの通勤と比べると距離があるものの、ニューヨークでは地下鉄が発展しているため特段不便なく通勤することができます。ルーズベルトアイランドからミッドタウンまでは地下鉄で15分程度、 ロングアイランドシティー からミッドタウンまでは30分程度です。

家賃に関しては、日系企業の平均月額家賃はミッドタウン周辺の平均家賃に近しい値となっています。上記グラフは2019年～2024年に弊社ニューヨーク拠点にて成約した日系企業の平均月額家賃をグラフ化したものです。これによると、2024年に弊社ニューヨーク拠点にて成約した全58件の平均値は＄5,338でした。エリア別ではミッドタウンでの成約が最も多くみられましたが、ルーズベルトアイランドでの成約もありました。ニューヨークで物件を探される際は、オフィス周辺のみでなく郊外や近隣エリアの物件も選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。