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海外赴任、住まいの前に来る事務手続きの壁|シンガポール赴任者のリアル

「現地の住まい探し」の前に、実は日本国内で終わらせておくべき手続きが驚くほど多い——。今回、シンガポールへ赴任した社員から寄せられた“つまずきポイント”を、公的機関の情報とあわせて整理しました。これから赴任される方、そして送り出す人事ご担当者の準備チェックリストとしてご活用ください。

 

各項目は、赴任準備の時系列に沿って並べ、それぞれ「事実(公的機関の情報)」→「赴任者の声(実体験)」の順にまとめています。

1. 予防接種|“全部打つ”必要はない。渡航先と自分の状況で決める

注射器と3か月前カレンダーのアイコン(vaccination three months ahead icon)
予防接種は出発の3か月以上前から計画を

事実(厚生労働省検疫所 FORTH)

必要なワクチンは渡航先・渡航期間・目的・年齢・健康状態・接種歴によって異なり、接種を行う医師とよく相談して決めることとされています。東南アジアではA型肝炎・腸チフス・日本脳炎などが検討対象です。数回に分けて接種が必要なものもあるため、出発の3か月以上前からの相談が推奨されています。

■赴任者の声
「厚労省の情報で身構えていたが、現地の医師に『これはあなたには不要』と言われたモノもあった。」これは矛盾ではなく、“個々の状況に応じて医師が判断する”という制度の考え方どおりです。

2. ビザ(シンガポール)|学歴審査と書類認証が“時間を奪う”

外務省付きビザ書類のアイコン(work visa and apostille icon)
就労ビザは英語の学歴書類と外務省認証がカギ

事実(シンガポール人材省 MOM/外務省)

就労ビザ Employment Pass(EP)は、最低給与基準に加えて、2023年9月に導入されたCOMPASS(ポイント制)で合計40点以上が必要です。評価項目には学歴が含まれ、大学の卒業証書・成績証明書の英語版が求められます。MOMが学歴の真正性確認を行う場合があり、その際は数週間の追加期間が発生します。また雇用主は、求人ポータルMyCareersFutureへの14日間の求人掲載(公正採用の証明)が必要です。

海外に日本の公文書(卒業証明書等)を提出する際、提出先から求められれば公印確認またはアポスティーユ(外務省の証明)が必要です。私立大学等の証明書は公証役場→法務局→外務省の3段階が必要で、時間がかかります。

■赴任者の声
「ビザ会社と外務省のやり取りでレスポンスが遅く、日程が延びた」「現地の求人サイトに2週間募集をかけたが決まらなかった」と振り返ります。いずれも制度上の必須プロセス(求人14日掲載・書類認証)と整合する内容です。

3. 運転免許証|“6か月・3年”の期限がカギ

運転免許証と失効タイムラインのアイコン(driver license renewal timeline icon
失効後の経過期間で手続きが大きく変わる

事実(警察庁・警視庁)

  • 更新期間は誕生日の前後1か月(計2か月)。海外滞在などやむを得ない場合は、更新期間前でも「期間前更新(特例)」が可能です。
  • 失効後6か月以内:やむを得ない理由があれば、学科・技能試験が免除され再取得できます。
  • 失効後6か月超〜3年以内:やむを得ない理由があり、帰国など理由がやんだ日から1か月以内に手続きすれば、試験の一部免除で再取得可能です。
  • 失効後3年超:失効手続きができず、一から取り直しとなります。

■赴任者の声
赴任者は「現地で日本免許を基に取得した免許・国際運転免許証は日本の免許に紐づくので、日本の免許を失効させないよう注意が必要」と話しています。

4. マイナンバーカード・健康保険|“転出前日まで”の手続きで失効を防ぐ

地球・飛行機のアイコン(my number card overseas icon)
転出前日までの継続利用手続きが重要

事実(総務省・自治体/健康保険)

2024年(令和6年)5月27日から、日本国籍の方は国外転出後もマイナンバーカードを継続利用可能になりました。ただし国外転出予定日の前日までに継続利用手続き(国外転出届と同時)をしないと、転出予定日にカードが失効します。

健康保険証は2024年12月2日で新規発行が終了し、マイナ保険証または資格確認書での運用に移行しました。海外転出者は、(1)継続利用手続きでマイナ保険証を維持する、(2)加入する健康保険から資格確認書の交付を受け一時帰国時に使う、のいずれかが一般的です(会社の健保に継続加入する駐在員の想定)。

■赴任者の声
住民票を抜くと基本的に失効すると思っていた。“転出前日までの手続き”で継続できるのがポイントです。

5. 確定申告・年末調整|出国時に会社が精算、その後は“納税管理人”

電卓のアイコン(tax return and calculator icon)
出国後の国内所得は納税管理人経由で申告

事実(国税庁)

1年以上の予定で海外転勤する給与所得者は、一般に非居住者と推定されます。居住者期間の給与は出国時に勤務先が年末調整で精算するのが基本です。非居住者でも、国内不動産の賃料など国内源泉所得があれば確定申告が必要になる場合があり、その際は納税管理人を定めて、納税地を所轄する税務署へ「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」を提出します(原則、出国日まで)。

6. NISA口座|“届出”の有無で道筋が分かれる

NISA分岐フローのアイコン(NISA account frozen or continued icon)
継続適用届出書の提出で最長5年の継続保有が可能

事実(国税庁/租税特別措置法)

出国により非居住者となる場合、原則NISA口座は廃止され、上場株式等は課税口座へ移管されます。ただし、勤務先の転任命令などやむを得ない事由による出国では、出国日の前日までに「継続適用届出書」を提出することで、提出日から5年を経過する日の属する年の12月31日まで、NISA口座を非課税のまま継続保有できます(根拠:租税特別措置法37条の14第22項)。

金融機関を問わず共通して起こりうること

NISAの取扱いは各金融機関で細部が異なりますが、どの証券会社・金融機関でも共通して起こりうることとして、次の点に注意が必要です(特定の会社名によらず整理しています)。

  • 出国中は新規買付・積立は停止(保有は可能)
  • 期間内に帰国届出をしないと廃止され、一般口座へ払い出し
  • 継続は最長5年。超える場合は売却または移管の判断が必要
  • 手続きには書類で2〜3週間かかることもあり、代理人(常任代理人・納税管理人)の設定を求められる場合がある

■赴任者の声
基本的に凍結され、新しい取引はできなくなる。口座の保持申請はできたが、そのための書類の準備に2〜3週間かかった。

7. 銀行口座|“非居住者”になると扱いが変わる(各金融機関に要確認)

取扱いは各金融機関ごとに異なる

ポイント

銀行口座については全国一律の公的ルールは存在せず、取扱いは各金融機関ごとに異なります。赴任が決まったら、利用中の各行へ早めに個別確認することをおすすめします。中には住民票を抜くと口座が凍結されてしまう銀行もあります。

■赴任者の声
郵便物が届かなくなると口座を凍結される銀行が多い。手続きは銀行ごとにバラバラで、多くが店舗での対面手続きを求められて苦労しました。

8. 住宅ローン|海外赴任前に金融機関への確認を

 
住宅ローンのアイコン(home loan icon)
住宅ローン利用中の方は赴任前に金融機関へ相談を
 

ポイント

 

日本で住宅ローンを利用している方は、海外赴任が決まった段階で金融機関へ相談することをおすすめします。 住宅ローンは一般的に契約者本人が居住することを前提としているため、 赴任期間中に自宅を賃貸に出す場合などは金融機関への届出や手続きが必要となることがあります。

 

取扱いは金融機関によって異なり、赴任期間中も住宅ローンを継続できる場合や、一定の条件下で賃貸運用を認める場合があります。 一方で、別のローンへの切り替えが必要となるケースもあるため、辞令が出た段階で早めに確認しておくと安心です。

9.電話番号・SMS認証|“日本番号を残すか”問題(各社対応)

携帯電話とSMSのアイコン(mobile phone and SMS icon)
SMS認証のために日本番号を残す人が多い

ポイント

電話番号・料金プランについても全国一律の公的ルールは存在せず、取扱いは各通信キャリアごとに異なります。料金・プランは変動するため、具体的な金額は各社公式でご確認ください。

■赴任者の声
赴任者は「日本の番号を手放すと、銀行や各種サービスのSMS認証が受けられなくなるのが最大の落とし穴。番号維持のため、少容量の格安プランを残しておくと安心」と話しています。

10.この記事を語ってくれた赴任者より

赴任地:シンガポール

氏名:森下 唯

総じて、何が大変だったか

国によって必要な手続きや進め方が異なること、また実際に赴任する立場にならないと見えてこない問題が多くあるため、どの会社でも完全なマニュアルを作成するのは難しいのではないかと感じました。そのため、自分自身で調べながら進める必要がありましたが、AIに確認した内容と実際に問い合わせた際の回答が異なることもあり、現代ならではの情報収集の難しさも感じました。

また、手続きそのものだけではなく、問題に直面した際にいかに冷静に対応できるか、状況に応じて柔軟に判断できるかという対応力も試されたように感じます。

余談ですが、私は単身での赴任準備だったため比較的少なかったのですが、国内での引継ぎや赴任後の手続きなど、やるべきことは非常に多いと感じました。ご家族帯同の場合は、お子様の学校手続きなど、さらに多くの準備やハードルを乗り越える必要があるのだと思います。

これからシンガポールへ赴任される方へ

赴任に向けた手続きは、想像していた以上に細かい作業や確認事項が多く、大きなストレスになることもあると思います。スターツシンガポールでは、お部屋探しだけではなく、お客様の生活スタイルやライフスタイルに合わせたご提案、現地生活に関するご相談についても、私たちが分かる範囲でサポートさせていただいております。

シンガポールは華やかで便利なイメージがある一方で、東南アジアならではの日本との違いやギャップを感じる場面もあります。そのようなときにも気軽に相談できる、赴任期間中のパートナーとして、ぜひ弊社をご利用いただければと思います。

まとめ|手続きの“次”は、住まい探し

これらの手続きを終えて、いよいよ「現地の住まい探し」が始まります。賃料水準の設定や社宅選びは、赴任者本人だけでなく人事ご担当者にとっても悩みどころです。スターツはシンガポール現地拠点で、日本語での物件紹介から契約・入居後サポートまで一貫して対応しています。上限家賃の設定に使える成約家賃データのご提供も可能です。まずはお気軽にご相談ください。

※本記事は2026年7月時点で公的機関が公表する情報を基に作成しています。制度・手続きは変更される場合があり、個別の可否は各所轄窓口・専門家(税理士・行政書士等)・各金融機関にご確認ください。

 

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スターツはシンガポールをはじめ、世界22カ国35都市に拠点を持つ現地ネットワークで、赴任者お一人おひとりの住まい探しを日本語でサポートします。物件のご紹介から契約・入居後のフォローまで一貫対応。人事ご担当者様には、上限家賃の設定に役立つ 成約家賃データもご提供いたします。まずはお気軽にご相談ください。


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