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成約事例 | ハワイ~相続を見据えた資産整理と海外不動産売却事例~


ハワイ不動産売却事例|相続を見据えた資産整理

2010年にご家族用の別荘として購入されたハワイ・アラモアナの区分コンドミニアムを、 将来の相続リスクを見据えて整理し、2025年に売却完了した事例です。 個人名義で海外不動産を保有している場合、相続発生後に現地での手続きが長期化・高額化するおそれがあります。 本記事では、購入時$489,000(約4,060万円)の物件を、売却時$678,000(約1億円)で成約したケースをもとに、 早めの準備の重要性、海外不動産が相続税圧縮につながりにくい理由、そしてアメリカ不動産で避けて通れない 「プロベート」のポイントを、不動産実務の観点からわかりやすく解説します。


本事例の概要

今回ご紹介するのは、ハワイ州アラモアナの区分コンドミニアムを、 将来の相続を見据えて整理・売却した事例です。 ご相談者様は元事業会社代表の80代のお客様で、2010年にご家族で利用する別荘として個人名義で購入されました。

その後、2022年に体調を崩されたことをきっかけに資産整理を開始。 奥様に売却手続き等を一任できる委任状を整備し、ご家族内での協議を重ねたうえで売却方針を決定し、 2025年に売却完了となりました。 海外不動産は、購入時よりも「どう保有し、どう引き継ぎ、いつ整理するか」が重要になる資産です。 本件は、相続発生前に準備を整えたことで、ご本人・ご家族双方の負担軽減につながった好事例といえます。

ハワイ・アラモアナのコンドミニアム外観
ハワイ・アラモアナのコンドミニアム外観

物件概要

所在地 ハワイ州 アラモアナ
物件種別 区分コンドミニアム
保有名義 個人名義
購入時期 2010年
利用目的 ご家族用の別荘
購入価格 $489,000(約4,060万円、1ドル=83円)
売却時期 2025年
売却価格 $678,000(約1億円、1ドル=148円)

ご相談の背景

ご相談者様は、長年事業を営まれてきたお客様で、ハワイ不動産を資産としてだけでなく、 ご家族で過ごすための別荘として保有されていました。 一方で、海外不動産を個人名義で持ち続けることには、国内不動産とは異なるリスクがあります。

特に相続が発生した場合、海外不動産は日本の手続きだけでは完結せず、 現地制度に基づく相続手続き・名義整理・売却可否の確認が必要になることがあります。 本件では、体調変化をきっかけに「元気なうちに家族へ迷惑をかけない形に整理しておきたい」という考えから、 保有継続ではなく整理・売却も含めた検討が進められました。

ハワイコンドミニアム室内からの眺望
ご家族で利用されていたコンドミニアムの室内からの眺望

ご相談時点での重要論点

  • 将来的に相続が発生した場合、ご家族が現地実務まで対応できるか
  • 個人名義のまま保有を続けることが本当に最善か
  • 売却するなら、判断能力や意思確認ができるうちに進めるべきではないか
  • 相続対策のつもりで保有していても、税務上・実務上のメリットが薄い可能性はないか

売却結果と為替のポイント

本件では、有事に備えて奥様名義への委任状を整備し、 ご家族内での協議を丁寧に進めたことで、相続発生前に売却方針を固めることができました。 その結果、2025年に無事売却完了となっています。

売却結果

購入価格:$489,000(約4,060万円)

売却価格:$678,000(約1億円)

購入時レート:83円/$

売却時レート:148円/$

ポイント:物件価格の上昇に加え、為替環境も追い風となり、日本円換算での成約金額も大きく伸びた事例です。

実務上、海外不動産の売却成果は「現地通貨ベースの価格」だけでなく、 「日本円に戻したときにいくらになるか」まで見て判断することが大切です。 本件では、購入時の為替が83円/$、売却時の為替が148円/$であったため、 ドル建て価格の上昇と円換算時の効果の両面から、非常に良い結果につながりました。

事前準備で重要だったこと

  • 判断能力や意思確認ができるうちに準備を始めたこと
  • 奥様に売却手続き等を一任できる委任状を整備し、有事の対応体制を整えたこと
  • ご家族内で資産の取り扱い方針を事前に共有できたこと
  • 相続発生後ではなく、相続発生前に売却という選択肢を実行できたこと

アメリカ不動産の相続で注意したい「プロベート」とは

アメリカ不動産の相続で特に注意したいのが「プロベート(Probate)」です。 これは、亡くなった方の遺産について、遺言の有効性確認、相続人や受益者の整理、 財産目録の作成、債権者対応、資産の移転・分配などを、裁判所の関与のもとで進める手続きです。 日本の一般的な相続実務と比べると、関係者も多く、時間も費用もかかりやすいのが特徴です。

日本とアメリカの相続手続き比較図
日本とアメリカでは、相続時の手続きや負担が大きく異なる場合があります

プロベートで実務上起こること

不動産実務の観点からいうと、プロベートは単なる「名義変更手続き」ではありません。 一般に、相続発生後はまず裁判所のもとで遺産管理者(Personal Representative)等が関与し、 財産内容の把握、評価、債務・費用の精査、関係者への通知、必要な承認手続を踏みながら、 最終的な分配または売却へ進みます。 ハワイのプロベートルールでも、財産目録、債権者対応、不動産売却、相続人確定などが個別項目として設けられています。

なぜご家族の負担が重くなりやすいのか

  • 相続手続きが完了するまで長期間を要することがある
  • 裁判所関与のため、自由に売却を進めにくい場面がある
  • 弁護士・会計士など専門家費用が高額になることがある
  • 相続人が現地の専門家・裁判所とのやり取りを求められる場合がある
  • 財産や相続人情報が公開対象となる可能性がある

アメリカ不動産を個人名義で保有している場合、 「相続が起きたら家族がそのまま売ればよい」というイメージどおりには進まないことが少なくありません。 ご本人・ご家族双方の負担を最も軽減するために、相続発生前に整理しておくことが肝要です。


海外不動産は相続税圧縮になりにくい理由

日本の不動産は、相続時に路線価や固定資産税評価額など、 市場価格とは異なる評価指標が用いられるため、 実勢価格より低い評価額となるケースが多く、 相続税対策として活用されてきました。

もっとも、近年は相続税評価を巡る制度や実務運用が見直され、 日本国内の不動産であっても、 相続直前に取得した収益物件による評価圧縮などについては、効果が限定されるケースが増えています。 相続対策としての不動産活用は、「いつ始めるか」という時間軸が、これまで以上に重要になっています。

こうした国内不動産を取り巻く環境変化を背景に、海外不動産についても 「日本とは評価方法が異なるため、別の形で相続税対策になるのでは」と期待されることがあります。 しかし実務上は、海外不動産において日本国内不動産のような制度的評価圧縮を前提とすることは難しいのが実情です。

日本国内不動産との違い

日本国内不動産では、相続税評価の場面で、路線価方式や固定資産税評価額といった税務上の評価ルールが適用されます。 その結果、実勢価格に比べて相続税評価額が低くなり、いわゆる「評価圧縮」が生じるケースがあります。

一方、海外不動産については、日本国内不動産のような評価指標や通達が存在しないため、 相続時の評価は実務上「時価」ベースで行われるのが基本です。 米国の相続税実務においても、遺産に含まれる資産は死亡日時点のFair Market Value(時価)で評価されるのが原則とされています。

そのため、海外不動産は実勢価格に近い評価となりやすく、 国内不動産のような制度的な評価圧縮は期待しにくい点が重要な違いです。

不動産実務としての捉え方

したがって、海外不動産は「保有しているだけで相続税圧縮につながる資産」として考えるべきではありません。

むしろ重要なのは、どの名義で保有しているか、相続発生時にどのような現地手続きが必要になるか、 相続人がその資産を円滑に管理・売却・換金できるかまで含めて、事前に整理しておくことです。

本件のように、相続発生前に売却・整理の方針を固めておくことは、 ご本人だけでなく、ご家族にとっても実務上の大きな負担軽減につながります。 海外不動産は、税務上の見かけのメリットだけでなく、「実際に引き継げるか」「相続後に売却できるか」 「手続きやコストに見合う資産か」といった実務面まで含めて判断すべき資産といえるでしょう。

※実際の相続税評価や申告要否は、保有スキーム、居住地、資産構成、相続人構成などで異なります。 個別案件では、税理士・弁護士等の専門家と連携して判断することが重要です。


まとめ

今回の事例では、体調の変化をきっかけに資産整理へ着手し、 委任体制の整備、ご家族での合意形成、売却方針の確定というステップを踏むことで、 相続発生前にしっかりと準備を終えることができました。

また、売却結果としては、購入価格$489,000(約4,060万円)に対し、 売却価格$678,000(約1億円)で成約し、 購入時レート83円/$、売却時レート148円/$という為替環境も追い風となりました。 海外不動産は、現地価格と為替の両方を見て出口戦略を考えることが大切です。

そして何より、海外不動産は日本国内不動産とは異なり、 相続時に「時価」で評価されるのが基本であるため、 国内不動産のような相続税評価の圧縮を期待しにくいという点は、実務上非常に重要です。 さらにアメリカ不動産では、相続時にプロベートが問題となり、ご家族に大きな負担を残す可能性があります。

将来を見据えて「今のうちに何を整理しておくべきか」「保有継続と売却のどちらが適しているか」を確認しておくことが、 海外資産を安心して引き継ぐための大切なポイントです。

スターツでは、海外不動産の売却だけでなく、相続を見据えた資産整理の観点からもご相談を承っています。 個人名義で保有している海外不動産について、 今のうちに何を整理しておくべきか、売却と保有継続のどちらが適しているかを丁寧に確認しながら、 状況に応じたご提案を行います。 海外不動産の売却・管理・将来整理に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。