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海外不動産通信:台湾における内需拡大と店舗出店・オフィス移転の成約事例
Asia・Oceania

台湾における内需拡大と店舗出店・オフィス移転の成約事例
はじめに
台湾はこれまでも日系企業の進出先として選ばれてきましたが、最近ではサプライチェーンの見直しを背景に生産・販売拠点の整理に加え、事務所の移転や機能分散といった動きが日系・現地の枠を超えて活発化しています。
こうした動きが見られる一方で、半導体関連企業の進出や投資が続き、内需を背景とした消費も堅調に推移していることから、既存企業の拡大や新規参入の検討が増えており、小売業やサービス業など内需型分野への関心も高まっています。
本記事では、最新の動きを踏まえながら、台湾の経済環境とあわせて、実際のオフィスや店舗における賃貸借の成約事例についてご紹介します。今後の拠点戦略や進出のご検討にあたって、少しでも参考になれば幸いです。
目次
2. 台湾経済の動向と成長背景
AIを支えるサーバーや半導体の需要が世界的に高まる中、台湾はその供給を担う重要な拠点となっています。電子関連製品の輸出も伸びており、台湾経済の成長を牽引する分野の一つとなっています。
台湾の経済成長率は、2021年に半導体をはじめとする電子関連需要の拡大を背景に高い成長を記録しましたが、その反動もあり、2023年に一時的に低下しました。
2023年は、コロナ禍で在宅勤務の拡大やオンライン消費の増加を背景に伸びていたパソコンや周辺機器などの電子製品の需要が落ち着き、買い替えの需要も一段落しました。あわせて、企業側で在庫を調整する動きが進んだことや、世界的な景気減速の影響も重なり、輸出は一時的に落ち着きました。
その後は輸出が回復に転じ、AI関連需要の拡大もあり、成長が持ち直しています。
2025年の経済成長率は8%台と高い水準となりました。
グラフ① 台湾の実質GDP成長率の推移(2016–2025)
出典:台湾行政院主計総処「2023年第1四半期GDP速報および2023年見通し」、「2025年第4四半期GDP速報および2026年見通し」
3. 内需の拡大と市場環境および店舗出店のポイント
経済成長に伴い、台湾では所得水準が着実に上昇しています。
過去10年で生活水準も緩やかに向上しています。所得の水準には違いがあるものの、世帯可処分所得で見ると台湾は約117万TWD(約581万円)となっており、日本(約520〜550万円)と比較しても近い水準にあります。実際に、世帯平均可処分所得・消費支出はいずれも上昇傾向にあり、消費余力の拡大が確認できます。※1TWD=4.99円(2026年4月時点)
こうした動きから、消費に回せる余力は着実に増えており、今後は購買意欲の高まりにつながっていくと考えています。※日本:総務省統計局「家計調査」より
グラフ② 台湾の世帯平均可処分所得・消費支出の推移(2015–2024)
出典:台湾行政院主計総処 家庭収入・支出統計
台湾には1595拠点(外務省『海外進出日系企業拠点数調査 2024年10月』調べ)の日系企業が進出しておりますが、全体としては過去数年で緩やかに減少しています。これは、中国経済の減速により不動産市場の低迷や個人消費の伸び悩みが見られ、これまでのような高い成長が見込みにくくなっていることに加え、企業側でもアジア全体で生産・販売拠点の配置を見直す動きが出ているためです。さらに、人件費の上昇や現地企業との競争の激化もあり、一部では拠点の統合や撤退が進んでいます。
その一方で、台湾市場の消費力や内需環境を受け、小売・サービス業などの内需型事業では店舗出店の拡大の動きが見られます。例えば、日系スーパーマーケットのロピアは台湾進出以降、複数都市で出店を重ねるなど店舗網を拡大しています。また、飲食業ではくら寿司やすき家などが継続的に新規出店を行っており、店舗展開の拡大が見られます。そのほかにも、フィットネスジムや美容サービス(ヘアサロン、ネイル、エステ等)といった分野での進出も見られます。
このように、消費を取り込む業態では、日本国内で確立されたビジネスモデルを台湾市場に展開する動きが続いており、店舗出店に伴う不動産ニーズの拡大につながっています。
台湾での店舗出店にあたっては、日本と異なる商習慣や契約条件も多く、事前に把握しておくことが重要です。
まず、契約に至るまでの基本的な流れについてご紹介します。
図① 台湾の店舗契約の流れ
一般的には、条件交渉から契約締結まで約1か月前後、契約後から開業までは1〜2か月程度を要するケースが多く見られます。
各工程においては留意すべきポイントがあり、主な注意点は以下の通りです。
・手付金の支払いをもって物件確保となるため、迅速な判断が求められます(当社による手付金の立替制度のご利用も可能ですので、ご相談ください)
・保証金や前家賃は契約とほぼ同時期に支払いが必要となります
・内装工事は、物件決定後すぐに着手できるよう、事前に内装業者との調整が重要です
また、物件選定や内装工事の段階においても、実務上いくつか留意すべき点があります。
例えば、違法増築部分が含まれているケースがあるため、実際に使用可能な面積の確認が必要となるほか、建築図面が整備されていない物件も多く、内装業者による事前確認が求められます。
これらの点については、当社にて事前確認や内装業者との調整を含めてサポートが可能ですので、初めてのご出店でも安心してご検討いただけます。
なお、物件タイプについてはスケルトン・居抜きともに流通しており、日本と同様に条件や出店計画に応じた選定が可能です。
4. 店舗出店の成約事例(小売業・台北市)
ここでは、当社で実際にサポートした店舗出店の事例をご紹介します。
出店背景:台湾市場での事業拡大を見据え、段階的に追加出店を希望
企業のニーズ:物件選定から契約までをできるだけ短期間で進め、早期出店を実現したい
業種:小売業
エリア:台北市中心部・商業エリア
面積:40坪
月額賃料:385,000 TWD(1,921,150円 ※1TWD=4.99円、2026年4月時点)
坪単価:9,625 TWD
上記は、既に初回出店をサポートしていた企業様による追加出店の事例であり、本件を含めこれまでに3店舗の出店をサポートしています。
本件では、スムーズな出店に向けて事前にスケジュールや契約手続きの流れをご案内し、物件紹介後すぐに内覧・申し込みを実施しました。翌月に最終決裁者による内覧、翌々月に契約締結と、短期間での出店を実現しています。内装担当者の内覧も並行して行い、オープンまでの期間短縮にもつながりました。
同社においては、短期間での出店を実現できる点に加え、日本企業としての対応力や意思決定プロセスへの理解による安心感を評価いただき、継続的にご依頼をいただいています。このように、スピードと安心感の両立により、追加出店を含む事業拡大をサポートしています。本件は、台湾の安定した消費環境を背景に、日系企業の事業拡大が進んでいることを示す一例といえます。
また、スターツ台湾責任者の破入によると、近年は新規出店に加え、オフィス移転の相談も増加しています。従来多かった半導体関連企業に加え、サービス業や小売業など内需型ビジネスを展開する企業からの問い合わせも増えており、消費需要の取り込みを目的とした進出の動きが広がっています。
こうした動きは、店舗出店にとどまらず、オフィスを含めた拠点の配置や機能の最適化にもつながっています。
5. 台湾におけるオフィス移転のポイントと成約事例(サービス業・台北市)
台湾ではオフィス需要も堅調に推移しています。特に、事業拡大や人員増加に伴う移転、拠点機能の整理を目的としたご相談が増えています。また地震リスクへの意識や築年数を経たビルの存在を背景に、より良いオフィス環境を求める動きも見られます。
台湾でのオフィス選定について、特に以下の点は日系企業様が検討時につまずきやすいポイントとして挙げられます。
【面積・契約条件】
・契約面積と有効面積に乖離があり、有効率は55~75%程度と幅があります
・オフィス契約前でも、設立コンサルや会計事務所の住所を利用して会社設立登記を行うケースがあります
【スケジュール・工事】
・内装工事は遅延リスクを見込んだスケジューリングが必要です
・10階以上では消防申請に時間を要し、9階以下より1か月以上長くなる場合があります
・ビルによっては土日のみ工事可能なケースもあり、余裕を持った計画が求められます
【コスト・賃料条件】
・賃料は3年ごとに約15%、または年5%程度のエスカレーション(段階的な賃料改定)が設定されるケースが一般的です
・契約更新時には市場環境に応じて賃料の見直しが行われる場合があります
・マネージドオフィス(内装・家具等があらかじめ整備されたオフィス)では内装費を含めた賃料がベースとなるため、値上げ幅に影響する点に注意が必要です
こうした違いを踏まえ、当社では以下のように物件選定から契約に至るまで必要なサポートを行っています。
・物件選定前に、レイアウト作成のボリュームチェック
・移転コストシミュレーションの提供
・無理のない移転スケジュールの策定
・賃料推移データなどを活用したエリア選定、候補物件の抽出
・契約内容の精査・条文交渉
・関連業者の紹介・コンペ幹事代行
ここでは、当社で実際にサポートしたオフィス移転の事例をご紹介します。
移転背景:事業規模拡大における移転
企業のニーズ:安全性や築年数を考慮しつつ、増員に伴いオフィス環境の改善を目的とした移転を検討
業種:サービス業
エリア:台北市中山区(中心部・日系企業が多いエリア)
面積:契約面積300坪程度、使用面積190坪
月額賃料:1,200,000 TWD(5,988,000円 ※1TWD=4.99円、2026年4月時点)
坪単価:4,000 TWD
上記は、台湾に拠点を持つ日系企業様のオフィス移転の事例です。
本件では、市場動向や空室状況を踏まえた物件提案に加え、レイアウト案の作成や内装費用の算出を行い、具体的な検討を進めていただきました。また、日本側ご担当者様との事前調整を含め、意思決定プロセスに沿ったサポートを行うことで、予算確保から社内決裁まで円滑に進行しました。
現地主導で進みやすいオフィス検討においても、日本側のご担当者様とも適宜連携することで、双方の認識を合わせた検討を実現しています。さらに、ビル側との調整により区画の確保も行い、検討初期から契約直前まで一貫して対応しています。
6. スターツ台湾のご紹介
スターツ台湾では、日系企業の海外赴任者様のお部屋探しはもちろん、本記事でご紹介した店舗やオフィスを含め、企業様に関わる不動産全般のサポートが可能です。
日本企業様特有の意思決定プロセスや商習慣にも配慮しながら、物件選定から契約、内装・入居に至るまで一貫してサポートしています。
構想段階でのご相談も積極的にお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。
【連絡先】
台湾世達志不動産顧問股份有限公司
所在地:台北市中山区松江路318号9F-2室
TEL: +886-2-2511-0508
MAIL: twn@starts-taiwan.com
HP: https://kaigai.starts.co.jp/taiwan
国際事業本部 国際部
TEL: 03-6202-0148
HP: https://www.starts.co.jp/kaigai/
本号担当者:新堀 南水